2021 Fiscal Year Research-status Report
複素球多様体に対する可視的作用とその表現の分規則への応用
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20K14305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 雄一郎 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教 (70780063)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 実簡約リー群 / 等質空間 / 可視的作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
局所コンパクト群のユニタリ表現は、その絡作用素全体のなす環が可換であるとき無重複といわれます。これは、1次元トーラスによる線型作用で考えますとその固有値が全て異なることに相当します。 小林俊行氏によって2000年代前半に導入された、複素多様体に対する可視的な作用の理論では、リー群がコンパクトであるか非コンパクトであるかを問わず、また、表現が有限次元であるか無限次元であるかを問わず、リー群の表現の無重複性を統一的に扱うことができます。 この理論における問題として小林氏が挙げているものの一つに、可視的作用の分類問題があります。まずコンパクトリー群の作用につきましては、ユニタリ群の一般旗多様体へのレビ部分群による作用、ユニタリ群の線型空間への線型作用およびA型複素冪零軌道への作用に対して、小林氏自身によって分類が与えられました。その後、一般の線型空間への線型作用と複素冪零軌道への作用とに対して、笹木集夢氏によって分類が与えられました。また、非コンパクトリー群の作用につきましては、これまでにエルミート対称空間への対称部分群による作用が強可視的であることが小林氏によって証明されています。 今年度の研究で、コンパクト実形による作用の強可視性から非コンパクト実形による作用のそれが得られることが分かりました。手法は、コンパクト実形による可視的作用を作用している空間ごとすべて複素化した後に、非コンパクト実形に制限するというものです。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時に考えていた手法とは異なりますが、今年度目標としていたことが示せましたので、おおむね順調、としました。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づき、次年度はコホモロジーの空間の無重複性の研究を行います。
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Causes of Carryover |
予定していた研究集会への出張が全てなくなったことが、次年度使用額が生じたことの主な原因です。翌年度に国内での国際研究集会の開催が予定されておりますので、参加者の旅費などの開催経費として使用させていただきたく思っております。
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