2023 Fiscal Year Annual Research Report
複素球多様体に対する可視的作用とその表現の分規則への応用
Project/Area Number |
20K14305
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 雄一郎 東京大学, 大学院数理科学研究科, 助教 (70780063)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実簡約Lie群 / 等質空間 / 無重複表現 / 可視的作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gを連結コンパクトLie群とし、H及びLをそのLevi部分群とします。このとき、Hによる一般旗多様体G/Lへの作用が強可視的となるような3つ組(G,H,L)を分類せよ、という問題が東京大学の小林俊行教授によって提示され、実際にGがA型である場合における解が与えられました。その後、本研究代表者によって他の型の場合に対する解が示されています。 初年度の研究を通し、上述の分類されたコンパクトLie群の3つ組から、Gの複素化Gcの非コンパクト実形G'およびその2つのLevi部分群H'とL'からなる3つ組を構成したときに、非コンパクトLie群による楕円軌道への強可視的作用が得られること、すなわち、可視的作用のスライスおよび反正則微分同相写像が得られることが分かりました。さらに、このときに用いた議論を吟味することによって、2つの部分群H', L'の内の片方がLevi部分群でない場合であっても、(G', H')と(G', L')が対称対であってかつH'とL'の共通部分がG'のコンパクト部分最大のカルタン部分群を含む、という仮定の下で可視的作用が得られることがわかりました。 2年目の研究で、コンパクト実形による作用の強可視性から非コンパクト実形による作用のそれが得られることが分かりました。手法は、コンパクト実形による可視的作用を作用している空間ごとすべて複素化した後に、非コンパクト実形に制限するというものです。 3年目の研究によって、線束の切断の空間だけでなくより高次のコホモロジーの空間に実現されるユニタリ表現に対しても、その既約性を得るのに本研究の手法が有効であるということが分かりました。 最終年度の研究で、可視的作用のもとで楕円軌道上の正則線束のDolbeaultコホモロジーの空間が無重複となることを示しました。
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