2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K14307
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 真由子 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (30866249)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数理物理学 / 代数トポロジー / ホモトピー論 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数トポロジーと数理物理学に関する研究を進めた. 本年度は主に, Topological Modular Forms (TMF)と呼ばれる一般コホモロジー理論に関する研究を行った. 一般コホモロジー理論TMFは, 現代ホモトピー論の「金字塔」ともいえる, 純粋数学的に重要な研究対象である. 一方, 「TMFが2次元超対称場の理論を分類する」というStolz-Teichner予想を通じて, 理論物理学とも深く関係している. 私は昨年度, 物理学者の立川裕二氏との共同研究において, TMFを用いることで, 「ヘテロティック弦理論の量子異常が存在しない」, という物理的命題に対する数学的証明を与えた. 本年度は立川氏とともに, それを深化させる研究を行った. この「量子異常の消滅」(物理学的事実)と「TMFのAnderson自己双対性」(純粋数学的事実)が実は深く関係していることを証明した. Anderson自己双対性はホモトピー論の深い結果であり, この事実に物理的解釈を与えたのは, 純粋数学的な立場から見ても非常に面白い結果である. また, この結果を応用し, TMFの非自明なねじれ元やpower operation等, 今まで純ホモトピー論的な証明しか知られていなかった様々な構造に対して, 微分幾何的証明を与えた. この結果に関しては現在論文執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
TMFに関する研究は, 当初代数トポロジーを物理学に応用するという動機から始めた研究であったが, 本年度の研究により, TMFのAnderson自己双対性などの構造に新しい理解を与えるという, 純粋数学的に面白い結果が得られたため.
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Strategy for Future Research Activity |
代数トポロジー・ホモトピー論と数理物理学に関する研究を引き続き進める. 高階圏的対称性に関する研究も扱いたい.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で参加予定だったいくつかの研究集会が消滅したため次年度使用額が生じた. 次年度は旅費, 物品費に使用する計画である.
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