2020 Fiscal Year Research-status Report
Thompson群Vの非正曲率性の研究と低次元トポロジーへの展開
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20K14311
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
加藤 本子 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 特定助教 (00847593)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Thompson群 / 非正曲率距離空間 / 幾何学的群論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Cantor集合の対称性を記述する群であるThompson群Vを対象に、幾何学的な観点から研究を行っている。 具体的には、Vの非正曲率の距離空間への群作用の新たな構成法を研究している。また、Vと無限型写像類群の関係を用いて、低次元トポロジーへの応用への展開を視野に入れている。 本年度の研究では、Vをpicture groupと捉える観点により、Vの非正曲率空間への作用について考察した。Thompson群VはCantor空間の自己同相群の部分群として、カントール集合に標準的な作用を持つ。この作用を観察することにより、Vの元は周期的、既約、可約の3種類に分類される。これらはそれぞれ、何乗かすると自明になる元、孤立した周期点を2個のみ持つ元、孤立した周期点を3個以上持つ元として定義される。VのFarley複体への作用について、それぞれのタイプの元がどのように作用しているかを観察した。 新たな方針として、Vの部分群であるThompson群Fに注目し、Fをlattice-ordered groupと捉えることで得られる群作用について考察した。 また、Vの一般化である符号付きThompson群についても研究を行った。これらの群には無限型写像類群の漸近的剛性を持つ有限生成部分群からの自然な全射がある。これらの群は無限型写像類群の性質を反映していると考えられ、低次元トポロジーへの応用の観点から重要な群である。本年度の研究では、これらの群をエタール亜群の位相充足群と捉えることにより、同型問題についての考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
参加予定であった研究集会やセミナーの中止により、情報収集や議論に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)本年度の研究に引き続き、Thompson群Vの非正曲率距離空間への作用の研究を進める。 (2)Vの一般化である符号付きThompson群についても研究を進める。同型問題についてエタール亜群の観点から別証明を与えることにより、無限型写像類群の研究への展開を目指す。
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Causes of Carryover |
研究集会の中止や出張自粛要請により、予定していた出張が行えなかった等の理由によって、次年度使用額が生じた。今後の使用計画としては、国内・国外移動が可能になった場合は国内・国外研究集会への出張を行い、情報収集や議論を行う。移動が難しい場合は機材やオンライン会議システムなどによるオンラインでの議論環境を整備し、オンライン研究集会を企画する。
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