2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K14313
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小池 貴之 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30784706)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 半正直線束 / 正則葉層構造 / 上田理論 / K3曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に於いては、名古屋大学・大沢健夫名誉教授の助言の下で習得した知識と技術を活用することで、研究計画時に一つの目標に据えていた予想の解決をいくつかの意義のあるクラスに於いて得ることができていた。本年度はまず、この成果に、より代数幾何学的な視点を活かした正則葉層構造に関する複素微分幾何学的手法を適用することにより、一般的・決定的でのこの予想の解決に成功した。この結果は申請時に予想し本研究に於いて推進してきた、半正直線束に付随して存在する葉層構造の研究の応用としての成果である側面が大きい。この結果は既にプレプリントの形で発表済みであり、現在投稿中である他、国際研究集会等に於いて口頭発表済みである。 更に以前から推進してきていた岡山大・上原崇人准教授との共同研究も、今年度大きく進展した。よりケーラー幾何学的な動機に基づいての葉層構造研究として行ってきた、貼り合わせ構成により得られるK3曲面に於けるリッチ平坦ケーラー計量に関する研究技法を転用することにより、貼り合わせ構成による射影的K3曲面の実現可能性問題にほぼ完全な形での解決を与えることに成功したのである。この結果についても既にプレプリントの形で発表済みであり、現在投稿中である他、研究集会等に於いて口頭発表済みである。 また、今年度はオンライン開催という形で、文部科学省共同利用・共同研究「射影的複素多様体の部分多様体と葉層」を開催した。その前後では上記結果についての大変有意義な意見交換・情報交換も行えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初より本研究計画の一つの大きな柱であり目標でもあった、半正直線束に付随する正則葉層構造の存在証明及びそれに関する多変数函数論・複素幾何学的研究について、目標としていた予想を示すことに成功し、プレプリントに纏めることができた。その一方で、(特に国際)共同研究により推進を計画していた部分については、今年度もやはり新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響は無視できず、特に対面での精密な打ち合わせが必要となる共同研究課題については問題が生じた。しかしそれらの問題も、遠隔会議システムの活用と感染拡大状況に応じた柔軟な出張により克服し、昨年より維持・発展させてきた研究連携・協力関係を活かすことができた。中国やフランスに於けるオンライン研究集会・セミナーに於ける招待講演及びその前後の研究打ち合わせの実現は、そういった成果の証左といえる。以上を総合的に見ると、本研究の達成状況は十分に、当初の予想以上であったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究成果を総合するに、研究計画時の計画の後半(【研究手法2】)については、当初の予想に反し先にある程度満足のゆく形での完成を見たといえる。そこで今後は、残された手法(【研究手法1】)の方針での研究を推進し、当初の研究計画の完遂を目指す。1・2年度目に計画していた国外研究者との共同研究についても、同時並行的に(新型コロナウイルス感染拡大状況等をみつつ適切かつ柔軟な形で)今後推進する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響のため共同研究に大きな支障が出た。特に予定していた(特に国外の)招へい・出張計画ができなかった。そのため、研究遂行計画の変更が生じたため。
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Research Products
(7 results)