2022 Fiscal Year Research-status Report
有限生成群のなす空間上における増大度およびスペクトル半径の連続性の研究
Project/Area Number |
20K14318
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
雪田 友成 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (80843903)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コクセター群 / 増大度 / Salem数 / Pisot数 / Perron数 |
Outline of Annual Research Achievements |
有限生成群Gとその有限生成系Sの組(G, S)の全体にGrigorchukにより距離が定められ、これを標識付き群の空間という。本研究は、有限生成群Gとしてコクセター群を考え、その生成系としてコクセター生成系と呼ばれるものを取り、これらの全体をコクセター群の空間と定め位相的性質および幾何群論的性質の研究を行うものである。昨年度までにコクセター群の空間において増大度が連続関数であることを明らかにした。 本年度はコクセター群の増大度について,コクセター群に対して定まるnerveと呼ばれる単体複体の観点から研究を行った。具体的には, コクセター群のnerveがグラフであるとき、(1) Euler標数が正であればPisot数と呼ばれる実代数的整数に、(2) Euler標数が0であればSalem数と呼ばれる実代数的整数となることをNaomi Bredon氏との共同研究で明らかにした。 また、スペクトル半径の研究に関連して海外出張を2度行い、年度末には研究集会「Groups of Dynamical Origins, Automata, and Spectra」に参加して当該分野を牽引している研究者らと議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はコクセター群の増大度の研究を主軸とし、これまでの結果を一般化することができている。 また, スペクトル半径の研究に関しては年度末にスイスにて開催された研究集会「Groups of Dynamical Origins, Automata and Spectra」に参加するなどして情報収集を行ない議論することで来年度以降の研究方針に知見を得られた。 以上のことから本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
コクセター群の増大度の研究に関して, nerveが1次元である場合にはEuler標数という位相不変量で増大度の数論的性質が制御できているが, nerveが2次元以上の場合にはEuler標数だけでは情報として弱いと考えている。 そこで、来年度以降はnerveが閉曲面と同相である場合に増大度の数論的性質についての研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
本年度末にスイスにて開催された研究集会「Groups of Dynamical Origins, Automata, and Spectra」に参加することは本研究を進展させるために必要不可欠であったため、前倒し支払い請求を行った際に請求した額の差分として次年度使用額が発生した。元々次年度に使用する予定であった分と合わせて、海外出張および研究に必要な機材の購入に使用する。
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