2023 Fiscal Year Annual Research Report
Deformation/rigidity theoryと冨田・竹崎理論
Project/Area Number |
20K14324
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
磯野 優介 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (80783076)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | III型フォンノイマン環 / 冨田・竹崎理論 / 自己同型 |
Outline of Annual Research Achievements |
フォンノイマン環とは,(簡単に言えば)無限次元の行列環の事である.特にトレース写像を持たない場合に,III型フォンノイマン環という.これは物理学にも現れる自然な研究対象であり,私はこれを数学的な視点から研究している.本研究は,トレース写像を持つ場合に得られた近年の研究結果を,III型の場合に再現する事を基本的目標としている. 特に冨田竹崎理論の重要な道具である連続核を用いた研究を行う. 今年度も,前年度に引き続きHaagerup-Stormer予想(1988)に取り組んだ.これはIII型フォンノイマン環の自己同型に関する予想であり,非常にいい加減に説明すると以下のようなものである:環上の状態(良い線形汎関数の事)の性質をあまり変えない自己同型はモジュラー作用素しかない.従順環(物理学に現れるクラス)については成り立つ事が知られており,非従順環の場合に成り立つ例は,私とC. Houdayer氏の共同研究によって2022年に始めt得られた.しかしそこで得られた例は全てalmost periodicと呼ばれるクラスに入っていた. 今年度の研究では,このalmost periodicという仮定を完全にはずす事に成功し,Haagerup-Stormer予想をほとんど全ての場合に肯定的に解決する事が出来た.実際にはある技術的な仮定が必要なのだが,その仮定は全てのフォンノイマン環に対して成り立つ事が予想されている.また,全ての具体的に対しては実際にそれが成り立っている.このような意味で,ほとんど全ての環に対して予想は肯定的に解決した.
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