2020 Fiscal Year Research-status Report
harmonic analysis on homogeneous spaces and the method of coadjoint orbit
Project/Area Number |
20K14325
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大島 芳樹 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (10746936)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Lie群 / 表現論 / 調和解析 / 等質空間 / 余随伴軌道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Lie群の等質空間に対するPlancherel測度、重複度関数、またより一般に誘導表現に対するPlancherel測度、重複度関数についての情報を、余随伴軌道の方法を援用して得ることを目標としている。 今年度は余随伴軌道の幾何の理解を進めるため、Lie群の等質空間の余接束の運動量写像の像がどのような空間になるかを調べた。特にシンプレクティック群などいくつかの古典群について具体的に運動量写像の射影の計算を行った。 また表現の誘導と制限は密接な関係にあるが、階数1の不定値直交群O(n,1)についてO(n,1)のすべての既約ユニタリ表現を放物型部分群に制限したときの分岐則を求めた。この場合すべての既約ユニタリ表現は放物型部分群の既約ユニタリ表現の有限直和になることがわかった。この表現の制限についての結果に対応する、余随伴軌道の射影についても計算を行った。その結果、表現の制限についての公式と余随伴軌道の射影についての公式に対応があることが確認された。特に、緩増加表現の離散分解性(より正確にはadmissibility)と余随伴軌道の射影写像の固有性の同値を述べるDufloによる予想が、O(n,1)と放物型部分群の場合には緩増加表現に限らない任意のユニタリ表現について拡張した形で証明された。 分岐則や軌道の射影について、簡約部分群への制限については知られている結果があるが、非簡約部分群については比較的知られていることが少ない。証明には、O(n,1)の放物型部分群の冪単成分NにおけるFourier変換を用いているため、Nが可換であることを本質的に使っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年度に参加予定だった研究集会は延期、中止、またはオンライン開催となった。そのため研究集会での情報収集に代替できる部分は、オンラインでの研究者との情報交換、文献による情報収集を行った。 特に2020年度はLie群の等質空間の余接束の運動量写像の像についての理解を進めた。この考察は誘導表現やPlancherel測度と深く関わりがあり、誘導表現の分解についての一般的性質と対応することが期待される。また階数1の不定値直交群O(n,1)について、すべての既約ユニタリ表現を放物型部分群に制限したときの分岐則を求めて、余随伴軌道の射影と表現の分岐則の対応を観察した。この観察は、軌道の方法をより一般の設定で適用する上で一つの重要な例になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2020年度に得られた等質空間の余接束の運動量写像の像についての考察に対応する誘導表現の既約分解の性質についての理解を深めたい。また連続スペクトルを持つような表現の制限についても余随伴軌道との関係を例で計算する。それらの研究を遂行するため、研究集会等に出席して参加者との情報交換を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、2020年度に予定されていた研究集会、研究打ち合わせの多くは次年度に延期された。以前から予定されていた物品費、旅費の使用に加えて、次年度に延期された研究集会、研究打ち合わせ参加のため助成金を使用する予定である。
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