2022 Fiscal Year Research-status Report
harmonic analysis on homogeneous spaces and the method of coadjoint orbit
Project/Area Number |
20K14325
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 芳樹 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (10746936)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Lie群 / 表現論 / 調和解析 / 等質空間 / 余随伴軌道 / 分岐則 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに,簡約群Gとその閉部分群Hから定まる等質空間G/Hに対して、G/HがG不変測度をもつ,すなわちHがユニモジュラーであるとき,「ユニタリ誘導表現L^2(G/H)の既約表現への分解に寄与するGの既約ユニタリ表現にorbit methodで対応する半単純軌道の集合が,漸近的にG/Hの余接束からGのLie環の双対空間へのmoment mapの像で与えられる」という結果を得ていた(Benjamin Harris 氏との共同研究)が,2022年度はこの結果の直線束の場合やHがユニモジュラーでない場合への拡張を考え,部分的な結果を得た.たとえば直線束の場合には(ある緩い仮定の下で)直線束を与えるパラメータが十分大きければtwisted moment mapの像が楕円型軌道からなる空でない開集合を含むとき離散系列表現をもつということを示した. また,2022年度はZuckerman導来関手加群の対称対に関する制限が離散分解するという小林俊行氏によって導入されたクラスについて,明示的な分岐則の公式をD加群の方法や離散系列表現のcoherent familyの交代和を用いる方法などで求めた結果を整理し,300ページを超えるプレプリントを完成させた.すべての場合に制限はZuckerman導来関手加群の直和に分解する.この分岐則の結果についてもorbit methodによる解釈を試み,上記の設定においては,もとのZuckerman導来関手加群に対応する楕円型軌道の,部分Lie環の双対空間への射影による像で,分解に現れる部分群のZuckerman導来関手加群を定める放物型部分Lie環の集合を記述できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに等質空間Xに対するPlancherel測度の台の漸近錐とXの余接空間のmoment mapによる像との関係を調べたが,2022年度は直線束の場合つまり1次元表現からの誘導への拡張を考えた.例えばRiemann対称空間上のL2関数の表現は離散系列を持たないが,直線束のL2切断の表現は離散系列を持つ.これは対応する余随伴軌道を通して解釈できる. また表現の制限についても離散分解する場合に得た明示的な分岐則について,やはり対応する余随伴軌道との関係を考察した. 無限次元のユニタリ表現の制限・誘導について,orbit methodを通して前年度からさらに理解を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に考えた1次元表現からの誘導や離散分解する表現の制限に対する考察をさらに推し進めて,2023年度はより一般のユニタリ表現からの誘導や離散分解しない表現の制限に対してもoribit methodを通して一般的性質を調べる. 研究遂行のために研究集会に参加して情報交換を行う.得られた結果を論文として発表し,また研究集会でも研究発表を行う.
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Causes of Carryover |
引き続きコロナウイルスの影響があり,予定されていた関連分野の研究集会,研究打ち合わせで延期またはオンライン開催となったものがあったため当該年度の使用額が減った.また.次年度は主に情報交換や研究発表のため対面での研究集会に参加する旅費,また研究結果の整理や論文執筆にあたり既存の研究と比較するために必要な図書や情報機器を購入する物品費に使用する予定である.
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