2022 Fiscal Year Annual Research Report
Koksma-Hlawka型不等式を礎とする準モンテカルロ法の研究
Project/Area Number |
20K14326
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 航介 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (20868674)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 準モンテカルロ法 / 乱択化準モンテカルロ法 / ソボル列 / スクランブル / デジタルネット |
Outline of Annual Research Achievements |
高次元数値積分のアルゴリズムとして、サンプル点を一様ランダムに選ぶモンテカルロ法がよく知られているが、収束オーダーはサンプル点の個数の平方根の逆数となり決して速くない。準モンテカルロ法では、超一様点集合という注意深く設計された点集合をサンプルに用いることでモンテカルロ法よりも高速な積分誤差の収束を目指す。応用上では、両アルゴリズムの利点を得るために点集合の一様性を壊さないようにランダマイズする乱択化準モンテカルロ法(RQMC)という手法がよく用いられる。ここ2年ほど、RQMCにおいて平均値ではなく中央値を推定値とする手法(ここではmedian-RQMCと呼ぶ)が提案されてきた。この手法では、関数の性質を知ることなく、滑らかさなどの関数の良い性質を自動的に反映した高速な誤差収束が高い確率で得られる。本研究の最終年度では、scrambled sobol' (スクランブルソボル)列による median-RQMCについて研究し、以下の結果を得た。 一つ目の研究では、スクランブルソボル列 の gain coefficient と呼ばれる量を調べ、既存のものよりも良い評価式を得た。本研究では、ソボル列のデジタルネットとしての構造に注目して双対性を使い、議論を双対デジタルネット上での数え上げに帰着した。 二つ目の研究では、スクランブルソボル列による median-RQMC に対して、滑らかさなどの関数の良い性質を自動的に反映した高速な誤差収束を証明した。既存の結果を超え、本研究では関数の周期性を要求せず、非常に広いクラスの関数に対してほぼ最適な収束を示した。そのため多くの例に対し応用可能であり、意義のある結果だと考えている。
|