2020 Fiscal Year Research-status Report
Green関数を用いた単純ランダムウォークの非交叉確率の解析
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20K14329
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 いず海 九州大学, 数理学研究院, 助教 (40795605)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 単純ランダムウォーク / ブラウン運動 / local time / Green関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に関して、多次元整数格子上の単純ランダムウォーク及びその連続時間版のブラウン運動の交叉に関する事象の解明のため、Green関数やlocal time(局所時間)の性質の解析を行った。大まかには、ある確率過程の軌跡に対するlocal timeが0であるということと、ある確率過程と非交叉であることが同値なことに着目して、local time関連の研究を非交叉の解析に応用することを考え研究を遂行した。具体的に、Green関数は単純ランダムウォークのある点に対しての到達確率と関係性があることが知られているが、これを多点に拡張した時の関係性の解析を進めた。特に、Green関数の固有値や逆行列の成分和など、到達確率と関係性があることが知られている値に関して、その性質を調べた。また、この結果を用いて、単純ランダムウォークの有限時間の軌跡の境界点の個数に関する長時間挙動について論文を執筆した。 また、一般的にFeynman-Kacの公式より、熱方程式とブラウン運動のlocal timeは関係性をもつことが知られている。柳田氏(東京工業大学)との共同研究により、Hardy-typeのポテンシャル項に非整数ブラウン運動の動きをする動的特異点をつけた3次元以上の熱方程式の解析を進めた。この方程式はブラウン運動と非整数ブラウン運動の衝突確率と関係性があることがわかった。従って、ポテンシャル項を変えた場合にブラウン運動の交叉確率と関係性があるのか調べることで、熱方程式との関係性を用いたlocal timeの解析手法の可能性をさらに広げたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多次元の単純ランダムウォークの多点への到達確率とGreen関数の関係性を深められたため。また、その結果を用いて、単純ランダムウォークの軌跡の境界点の個数の長時間挙動に関する論文を執筆できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
一般的に、単純ランダムウォークの到達確率はcapacityと関係していることが知られている。従って、3次元以上の単純ランダムウォークの有限時間での軌跡に対するcapacityについて解析する。この解析は単純ランダムウォークの交叉確率の解析に対応する。具体的には、3次元以上の単純ランダムウォークの軌跡に対するcapacityの極限定理がどの程度成立するか調べる。 新型コロナウイルスの影響により、国内外への出張及び対面での研究打ち合わせが困難になっているため、zoomやskype等の利用により、研究集会での講演や研究打ち合わせを行う。そのため、パソコンや関連機器についても、必要性に応じて購入する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、国外への研究打ち合わせ及び研究集会での発表は困難になりうるので、zoom等を用いて研究打ち合わせ等を行う。従って、必要に応じて電子機器などを購入する。また、適宜書籍の購入などを行う。国内での研究集会については、新型コロナウイルスの影響によるが、可能な限り出席する。
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Research Products
(1 results)