2020 Fiscal Year Research-status Report
高次元パンルヴェ型方程式の非線型・線型対応に関する研究
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20K14330
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
中村 あかね 城西大学, 理学部, 助教 (30782130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パンルヴェ方程式 / 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
パンルヴェ方程式は,楕円関数を非自励化した特殊関数とみることができる.高次元も含めたパンルヴェ型方程式について,対応する自励系の可積分系に付随する曲線に着目した研究を行っている.以前の自身による先行研究では,4次元自励パンルヴェ型方程式のスペクトラル曲線および非線型問題から得られるパンルヴェ因子のジェネリックな退化を調べていた.これらは,線型方程式および非線型方程式の具体形を元に,種数2の超楕円曲線族を表す方程式を導出し,その判別式や井草不変量などを計算してリューのアルゴリズムを適応することで,浪川・上野の退化型を計算するというものであった.今年度は,エリック・レインズ氏からのアドバイスを元に,線型方程式のスペクトラル型の情報だけから,方程式の具体系を経由することなく,ジェネリックな退化型が得られることを確かめた.また,具体的なスペクトラル曲線の方程式を起点とする場合も,レインズ氏の一般化ヒッチン系の枠組みで考察されるヒルツェブルフ曲面の反標準曲線とスペクトラル曲線の交点の分離という立場から,見直すことで曲線のジェネリックな退化型を再導出することができた.曲線のパラメトライゼーションを用いた再導出も行い,線型方程式の特異点情報と曲線の退化情報に関する翻訳作業を行った. さらに,一部の自励q差分パンルヴェ系に関しても,既知の線型方程式の具体形を元に,スペクトラル曲線の退化に関する計算結果を得た. 関連する研究として,坂井・間瀬氏との離散パンルヴェ方程式の離散ハミルトニアンに関する共同研究の結果を論文にまとめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究に対する十分な時間的・精神的集中を達成できなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究は,理解が深まった部分がある一方で,それをアウトプットという形まで持っていくことができなかった.2021年11月の研究集会"Generalized Hitchin Systems, Non-commutative Geometry and Special Functions"を一つの区切りとして,アウトプットとしてまとめていく,足りない部分を埋めるように研究するという方針に切り替える.
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Causes of Carryover |
2020年5月に計画していた国際研究集会RIMS Review Seminar "Generalized Hitchin Systems, Non-commutative Geometry and Special Functions"が新型コロナウィルスの状況から,2021年度に延期されたことが主な原因である.
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