2021 Fiscal Year Research-status Report
Model theory for operator algebras
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20K14336
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
増本 周平 愛知工業大学, 工学部, 講師 (30803861)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 作用素環 / 集合論 / フォンノイマン環 / モデル理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,von Neumann環と呼ばれる作用素環に対して適切なモデル理論を発展させ,作用素環論において基本的な役割を果たす対象に対して集合論的な解釈を与えることで,集合論の技法や理論を応用できるような作用素環論の範囲を可能な限り拡大することを目標としている.当初から想定していた方向は2つあり,1つはvon Neumann環そのものではなくvon Neumann環の前双対をモデル理論の対象とする方向,もう1つはvon Neumann環に備わる局所凸位相を扱えるようにモデル理論そのものを一般化する方法である.これら2つの方向のそれぞれについて検討を重ね,克服すべき課題を明確化した. また,この研究の過程において,C.C.ChangとH.J.Keislerの意味においてモデル理論の真理値空間として適切な空間をいくつか発見した.ここでいう「真理値空間として適切な空間」とは,擬順序の定まったコンパクトHausdorff空間であって,最大元1と最小元0を持ち,任意の開集合Uに対しUを含む最小の上方集合と下方集合とがともに開集合であり,かつそのような形の開集合がそれぞれ1と0との近傍基をなすようなもののことを指す.本研究においてそのような空間として,(1)Hilbert空間上の半正定値縮小作用素全体の空間,(2)Hilbert空間上の直交射影全体の空間(量子論理に対応すると思われる),(3)fをBanach*環A上の正値線型汎関数とするとき,fによって抑えられるようなA上の正値線型汎関数全体の空間,の3つが見出された.さらにこれらの空間は連続な論理結合子と量化子を十分に含んでいることが確認された.今後はこれらの空間を真理値空間として採用したモデル理論を作用素環,特にvon Neumann環の研究に応用する方法について探っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の直近の目標はvon Neumann環を集合論的に扱うのに最適なモデル理論を構築することであった.理論構築の方向性としては様々なものがあり得るが,それぞれについて克服すべき課題の明確化も進んでおり,また実績欄で述べたとおり応用可能性のありそうな対象を見出すこともできた.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の実績欄で見出した空間はいずれも関数解析の研究の家庭で自然に登場する空間である.まずはこれらの空間を真理値空間として採用したモデル理論が作用素環論における既存の結果とどのように関わり合うかを観察することから始める予定である.一方でvon Neumann環の前双対に距離構造のモデル理論を適用する方向や,von Neumann環の局所凸位相を反映した「擬距離構造」のモデル理論を構築する方向にもまだいくらか可能性を感じるので,これらについても思いつく限りの方策について随時検討を加えていくつもりである.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により多くの学会・セミナーがオンライン化したことで本来旅費として使用されるはずだった金額が持ち越されている.今後は感染状況に応じて対面での開催,またはハイブリッドでの開催となる集会が増えると考えられるので,こうしたタイミングで旅費として使用する.また,感染状況が落ち着いている時期を狙って他機関の研究者を訪問または招聘して研究打ち合わせを行う予定である.
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Research Products
(1 results)