2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K14339
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
加藤 睦也 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (40847026)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多重線形擬微分作用素 / 短時間フーリエ変換 / 局所ハーディ空間 / 局所bmo空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き,多重線形作用素の有界性について考え,以下の3つ成果を得ることができた. 1.ある滑らかな窓関数の線型結合に対する特別な場合の双線形フーリエマルチプライヤー作用素に関して,その係数とアマルガム空間およびウィーナー・アマルガム空間上での有界性との特徴付けを明らかにした.この結果は,昨年度に得ていたL^2×L^2での結果のある種の拡張となっている. 2.ヘルマンダーのS_{0,0}型シンボルクラスにおける多重線形擬微分作用素に関して,その局所ハーディ空間上での有界性について考えた.このクラスのシンボルは,すべての偏導関数が同じオーダーでの評価式をみたす.そして,その最適なオーダーは,線形の場合には古くから知られており,双線形の場合には,近年,宮地-冨田などによって完全に決定された.ここでは,それらの結果を三重線形以上の場合にも拡張することができた. 3.上記2において得られた有界性では,シンボルに非常に多くの微分可能性を仮定している.そこで,その滑らかさの仮定をどこまで弱めるられるのか,ということについても考えた.線形の場合には,ほとんど最適な結果が得られているのに対して,双線形以上の場合にはほとんど知られていない.ここでは,双線形以上の場合であっても,線形のものと同じくらいの微分可能性で十分であることがわかった. なお,上記成果1と2は,宮地晶彦教授(東京女子大学)と冨田直人教授(大阪大学)との共同研究である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,多重線形擬微分作用素におけるS_{0,0}型のシンボルクラスの拡張を目標のひとつとしている.今年度は,S_{0,0}型クラスに対する双線形の場合の結果を多重線形の場合に拡張する結果を得ることができた.さらに,この結果をもとに,シンボルに仮定されている可微分性の改良について,ある程度のところまでは仮定を弱めることができている.そのため,おおむね順調に研究を進めることができているように思う.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の研究対象としているS_{0,0}型クラスについては,おおむね希望するところまで成果を得ることができているように思える.しかし,いわゆる一般のS_{ρ,ρ}型ヘルマンダークラス, ρ≠0, に対してはまったく手を出せていない状況である.来年度は最終年度であるため,完全な結果を達成することは難しいかもしれないが,出来るだけ目標に近づけるようにしたい.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症によって,対面での研究集会・セミナー・学会の開催が激減した上に,共同研究の打ち合わせもメールやZoomなどで行ったため,申請していた旅費分のかなりの額が余ってしまった.状況にもよるが,繰り越した分は次年度の旅費などに充てる予定である.さらに,最近,学生の頃から使っているノートパソコンの調子が悪くなってきたため,最終年度ではあるものの急きょ購入することになるかもしれない.
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Research Products
(6 results)