2020 Fiscal Year Research-status Report
幾何学的対称性を用いた非線形波動・分散型方程式の解の挙動と特異性の解析
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20K14342
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 葵 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (40735148)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 初期値問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は,次の3つの研究を行い,それぞれ成果を得た. 1つ目は,非線形波動方程式の初期値問題における非適切性に関する研究である.非線形波動方程式の初期値問題がノルムインフレーションという強い意味で適切性が破綻することを証明した.特に,初期値のソボレフ指数が負の場合には,初期値問題は非適切となることを示し,適切性が得られている指数とのギャップを小さくした.(Justin Forlano氏との共同研究) 2つ目は,確率効果を含む非線形消散型波動方程式の初期値問題に関する研究を行い,適当な繰り込みを行わない場合には非自明な解が存在しないことを示した.(Tadahiro Oh氏,Tristan Robert氏との共同研究)また,確率効果をもつ非線形波動方程式と熱方程式との比較に関する研究を行った.特に,非線形項における平滑化効果の表れ方を比較し,非線形波動方程式では,非線形相互作用を丁寧に観察することで平滑化作用が表れることを示した.(Tadahiro Oh氏との共同研究) 3つ目は,微分型非線形シュレディンガー方程式系の初期値問題に関する適切性の研究である.ラプラシアンの係数の条件により,先行研究では,初期値問題が適切となる初期値のソボレフ指数と尺度臨界指数との間に差がある場合が含まれていたが,そのようなギャップを埋めることに成功した.また,初期値に球対称性を課すことで,初期値問題が適切となるソボレフ空間の指数が広がることを証明した.(平山浩之氏,木下真也氏との共同研究)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形波動方程式の初期値問題の非適切性に加えて,微分型非線形シュレディンガー方程式系の初期値問題の適切性について,ほぼ最良の結果が得られたため,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の影響によりどのような状況になるか見通しを立てるのが困難な状況であるが,対面形式での討論が行えない場合には,オンライン形式の討論などを活用し,本研究課題に取り組む.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により,予定していた出張がすべて行えなかったため,次年度使用額が生じた.開催が延期された研究集会等に関する旅費として使用する予定である.
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Research Products
(14 results)