2022 Fiscal Year Research-status Report
Construction of new phase field methods for dynamical problems in the calculus of variations
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20K14343
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高棹 圭介 京都大学, 理学研究科, 准教授 (50734472)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 平均曲率流 / フェイズフィールド法 / 幾何学的測度論 / 変分問題 / 特異極限問題 / バリフォールド / 弱解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に、平均曲率流方程式の障害物問題について研究した。2020年度に研究代表者は、周期境界条件における障害物付きの平均曲率流方程式について弱解の存在定理を得たが、本年度ではノイマン境界条件下で同様の結果が得られるかという問題について、研究協力者のKaterina Nik氏(ウィーン大学)と研究を行った。 2020年度に得られた結果では、Allen-Cahn方程式に対し障害物に相当する外力項を加えて、適切な優解、劣解を構成し、これによって障害物の中に侵入しない平均曲率流方程式の弱解を得た。本年度も基本的には同様の方針で考察したが、2020年度で与えた優解、劣解は一般の領域には適用できない。この問題に対して、領域の形状に依存せず適用できる新しい優解、劣解を構成した。この結果により、凸領域での弱解の構成が可能となった。 本年度ではさらに、非凸領域における弱解の構成も考えた。フェイズフィールド法による弱解の構成では、discrepancy measure(ディリクレエネルギーとポテンシャルエネルギーの差によって定義されるラドン測度)が特異極限で消滅することが要求される。凸領域では、最大値原理を用いてdiscrepancy measureの符号が変化しないことが示せるので、単調性公式等、弱解の存在で必要な評価式を比較的容易に得ることが出来る。しかし一般の非凸領域ではこの議論が使えないため、先行結果であるKagaya(2019)の方法を参考にし、非凸領域の場合でも単調性公式が得られることを明らかにした。 次年度は引き続き弱解の構成を進め、得られた結果を論文にまとめ投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
障害物問題において、一般領域における優解、劣解の構成が最も重要な部分であるが、これを解決したため。また、前年度に投稿した体積保存平均曲率流方程式に関する論文についても掲載決定した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得た結果をもとに、平均曲率流方程式の障害物問題に対する弱解の存在定理を完成させ、論文にまとめ投稿する予定である。 また、この障害物問題に、体積保存条件を課す、もしくは別の境界条件を課す等、別の条件を加えたときにも弱解が得られるか考察したい。
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Causes of Carryover |
本年度は、学会出張や研究に必要な解析学、偏微分方程式に関する書籍の購入等、おおむね予定通り使用することが出来たが、前年度までは新型肺炎の影響等により、予定通りの出張が出来なかったため。次年度は、海外の学会参加や外国人研究者との共同研究を進めるために使用する予定である。
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