2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K14345
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
檜垣 充朗 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (20868202)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非圧縮性粘性流体 / Navier-Stokes方程式 / 外部問題 / 軸対称流 / 解の漸近挙動 / 正則性理論 / John領域 / 壁法則 |
Outline of Annual Research Achievements |
無限に長い円柱外部における三次元定常Navier-Stokes方程式について,水平方向には減衰するが垂直方向には減衰しないベクトル場のクラスでの解の存在定理を得た.ただし,円柱壁面においては吸込境界条件を課す.まず,指導学生の堀内亮真氏(神戸大学)と共に,垂直方向に一様な付与外力に対する解の存在を示した(投稿済み,arXiv:2310.09752).また,垂直方向に周期的でない軸対称な付与外力に対する解の存在を示した(投稿済み,arXiv:2404.02854).これらは,特有の困難が知られる二次元外部問題を含む問題設定において,付与データに対する(水平方向への)減衰解を与える初めての結果である.どちらの証明でも,厳密解である吸込流に着目し,その周りの線形化問題の基本解の減衰構造を示すことが鍵となる.加えて,周期性が欠如した状況を扱う後者の証明では,二次元非定常Stokes方程式のレゾルベント問題の解析に類似した困難が現れるため,技巧的な議論が必要となる.投稿論文では,基本解の正値性を活用することで,線形化問題の解の精緻な評価を与えることに成功した.また,昨年度から引き続きFranck Sueur氏(University of Bordeaux)およびJinping Zhuge氏(Morningside Center of Mathematics)と共同研究を行った.
研究期間全体の大きな成果としては,上述の解の存在定理に加えて,定常問題の弱解の境界正則性理論が挙げられる.本理論はKoch雪片などのフラクタル境界を持つ領域を含むJohn領域において確立されており,Navier-Stokes方程式の解の正則性を考える上では,これ以上の領域に関する一般化は技術的に不可能だと思われる.また,粘性流体に対する壁法則との関連を見出し,新たに高次壁法則を境界正則性理論の観点から導出した.
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