2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on orbital stability of vortex rings
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20K14347
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
阿部 健 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80748327)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オイラー方程式 / 渦輪 / 進行波 / 軌道安定性 / 軸対称解 |
Outline of Annual Research Achievements |
非圧縮理想流の方程式であるオイラー方程式について進行波解の存在と安定性の研究を行った. 主に行った研究は3次元の進行波である軸対称渦輪の構成の研究である. 渦輪の存在は軸対称旋回なし渦輪に対しては知られているが, 初期値問題の時間大域可解性の不明である旋回ありクラスにおいては, Turkington(1989)の研究を除いては渦輪の存在は知られていなかった. 本研究では厳密解であるHicks-Moffatt渦がHillの球形渦輪, Chandrasekharの渦輪, Prendergastの渦輪を特殊な場合に含むことに着目し, 軸対称渦輪を旋回なし渦輪, ベルトラミ流, コンパクト台をもつ渦輪の三つの場合に分類した. 本年度はこのうち旋回あり渦輪の最も典型的な場合であるベルトラミ流における渦輪の構成をminimax法により行った. ベルトラミ流の研究はEncisoとPeralta-Salasにより比例係数が定数となる一様ベルトラミ流を用いて結び目, 絡み目をもつ渦線, 渦管が構成されているが, 比例係数が非定数となる場合には比例係数の等高面が球面に微分同相になれば存在しないことが知られていた. またNadirashiviliのリュービル型定理により斉次-1次のより早いオーダーで減衰する解は存在しないことも知られており, 解の存在は不明であった. 本研究では軸対称進行波のクラスで比例係数が非定数となる解を構成した. これにより漸近的に定数になり比例係数の等高面がトーラスになる解が存在することが明らかになった. この研究成果はプレプリントとして纏めarXivに投稿し, その後引き続き比例係数が非定数となる場合のベルトラミ流の研究を行った. この他には2次元半空間における渦度方程式の初期値問題の論文がAIHPANLから出版予定となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画は進行波の存在と安定性であったが, ベルトラミ流との関係がわかり研究方針を修正した. これに伴い文献の調査などで計画が予定よりも遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続きベルトラミ流の研究を中心に進める. 並行して課題としているのが渦対の漸近安定性である. 無限次元ハミルトン方程式の視点から引き続き課題に取り組む.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により国内研究会での出張をキャンセルしたため, 旅費使用予定額が繰り越しになった.
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Research Products
(7 results)