2020 Fiscal Year Research-status Report
Robust and Efficient Numerical Methods for Matrix Problems with Singularity
Project/Area Number |
20K14356
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
保國 惠一 筑波大学, システム情報系, 助教 (90765934)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数値線形代数 / 数値計算 / 行列解析 / 特異性 / 機械学習 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、数値的な求解が困難な特異及び特異に近い性質をもつ行列問題に対する頑健な数理アルゴリズムを設計し、それが従来法に比べて優れることを示すことである。 今年度は、機械学習やその最適化手法等の部分問題において重要な基礎問題である、ランク落ちである場合を含む係数行列をもつ線形系に対して、Kaczmarz法を適応的に用いた内部反復前処理付き一般化最小残差法(GMRES法)を開発した。Kaczmarz法、その乱択版、その貪欲版、及びそれらを組合せた派生を用いた反復法を内部反復前処理として施すことで収束の加速を行った。外部反復の収束条件を理論的に与え、数値実験により効率や精度に関する性能評価を行った。その結果、貪欲版及び乱択版と貪欲版を組み合わせた内部反復前処理は以前提案したNR-SOR法を用いたものよりも効率が良いことが明らかになった。本成果は科学技術計算分野の最上位論文誌に掲載された。本手法は、線形計画問題等に対する内点法の各反復で解くべき線形方程式の係数行列を陽に保持することが難しいが、ベクトルに作用素を適用することが容易である場合にも有効に活用できることが期待される。 また、分布が時間とともに変化するオンラインデータに対する分類問題に対して効率的なべき乗法及びKrylov-Schur法を用いた次元削減手法を考案した。これらの初期ベクトルに工夫を施し、重複を含む隣接する時系列データセット間で、クラス分類が済んだデータセットを次の時系列データのクラス分類における教師データとして再利用する近傍法を工夫したことで、従来法に匹敵する分類精度を実現できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画から派生したテーマが予想以上に進展し、その成果のひとつは科学技術計算分野の最上位論文誌に掲載されたが、一方で予定していた特異なモデルの学習の機序に対する幾何学的な解析を十分に進めるには至らなかった。ただし、前述の成果により、今後計画している最適化法の部分問題を効率的に解くための準備が先回りしてできた。総合すると、本研究はおおむね順調に進展している状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していて十分でなかった解析を進め、一方で設計した算法が破綻せずに解を与えるための条件を当初計画していたよう導出し、その下で収束速度等を与える。必要があれば数値実験を並行して進めて定量的な評価を行い、理論的な理解の進展を促進する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、参加を予定していた会議が延期となったため参加費及び旅費分の次年度使用額が生じた。当該会議が翌年度に開催されれば、そのための参加費と旅費に充てる計画である。翌年度分に請求した助成金は当初の目的に従って使用する計画である。
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Research Products
(12 results)