2021 Fiscal Year Research-status Report
Robust and Efficient Numerical Methods for Matrix Problems with Singularity
Project/Area Number |
20K14356
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
保國 惠一 筑波大学, システム情報系, 助教 (90765934)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数値線形代数 / 数値計算 / 固有値問題 / 特異性 / 射影法 / 最小二乗問題 / 摂動解析 / 丸め誤差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、数値的な求解が困難な特異及び特異に近い性質をもつ行列問題に対する頑健な数理アルゴリズムを設計し、それが従来法に比べて優れることを示すことである。 本年度は、まず非正方な行列束の固有値問題に対する新しい射影法を提案した。本問題は、行列の次元数と同じ数だけの固有値をもつとは限らず、特異である。本研究では、正則な行列束に対する従来の射影法の定式化を変更し、適用範囲を特異な行列束に拡張した。提案法が、指定領域内にある全ての固有値と対応する固有ベクトルを与えるための十分条件を与えた。提案法は、従来法およびその素朴な拡張よりも効率がよく、頑健であることを数値実験により示した。 また、非適切問題に対する非一致な投影・逆投影を用いた一般化最小残差法(GMRES法)を提案した。これまで研究してきた、係数行列の転置とは異なる行列を前処理に用いたGMRES法による最小二乗問題の解法を、投影・逆投影の行列を用いて非適切問題に適用する。方程式を異なる手法により離散化して得られる行列およびその転置は、必ずしも互いに転置の関係となるとは限らないが、GPUを用いるような特定の計算機環境において行列ベクトル積の効率がよい実装が可能である。一次の摂動解析により、投影・逆投影および観測誤差が解に与える定量的な影響を評価した。特異空間解析により、解が求めるべき特異空間を復元していることを示した。数値実験により、提案法が従来法と同等の精度で求解できることを示した。 さらに、特異および特異に近い線形系に対するGMRES法の求解精度を安定化される技術を考案した。GMRES法において近似解を与えるために小さく縮減した最小二乗問題を求解する必要がある。その求解において、正規方程式を敢えて陽に構成することにより丸め誤差を生じさせることで、条件数を抑えられることを示し、求解精度が向上できることを実験により示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画したテーマによる成果は、当該分野における最上位の学術誌に掲載された。当初の計画から派生した成果もあり、総合すると本研究は当初の計画以上に進展している状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画していた丸め誤差解析や精度保証技術の開発を進める。必要があれば数値実験を並行して進めて定量的な評価を行い、理論的な理解の進展を促進する。新たに、実問題向けの実装を遂行し、従来法との比較および実用性評価のための準備をする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、参加を予定していた会議が延期となったため参加費及び旅費分の次年度使用額が生じた。当該会議が翌年度に開催されれば、そのための参加費と旅費に充てる計画である。翌年度分に請求した助成金は当初の目的に従って使用する計画である。
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Research Products
(23 results)