2023 Fiscal Year Research-status Report
予測精度向上のための一般化推定方程式におけるモデル選択規準の導出と評価
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20K14360
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
佐藤 倫治 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (80865220)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 一般化推定方程式 / 平均構造 / 漸近性質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医学、薬学、経済学など様々な分野で観測される繰り返し測定データや、いくつかの類似した集団から得られたマルチレベルデータを解析する手法について、予測精度を向上するためのモデル選択手法について研究するものである。相関を考慮したモデリングや推定法に一般化線形混合モデルや一般化推定方程式などがあり、標本数が十分に大きいときに一致性や漸近正規性などのいい性質が報告されている。一方で、モデリングの際に決定するリンク関数については正準リンクを用いるのが一般的であり、リンク関数の誤特定に関する研究は少ない。さらに、リンク関数が正しく特定できているという仮定の下で一致性や漸近正規性が示されているため、リンク関数を誤特定した場合のバイアスを評価することは重要である。そこで本研究では、正準リンクを含む広いクラスのリンク関数族を定義し、その中で最適なリンク関数を選択する手法を開発している。リンク関数に追加したパラメータについては数値計算により選択を行う。リンク関数のパラメータを推定することで、実データとモデルの線形からの逸脱度を測ることが可能となる。また、標本数が少ない場合の一般化推定方程式法では回帰係数の推定量の分散推定量を過小評価することが知られているが、実臨床の現場では、希少疾患領域や研究規模の問題から大標本を仮定することが困難な場合が生じる。そこで、小標本の場合における分散推定量の修正についても行っており、学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、一般化推定方程式に含まれる平均構造を変化させ、既存のモデルより柔軟なモデルを構築することで、予測精度の高いモデルを構築することを目的としている。 本来の目的である平均構造の柔軟化についてはある程度検討できており、リンク関数族の定義や、数値的なリンク関数の選択については実データをもとに検討できているため「おおむね順調に進展している」とした。 一方で、リンク関数に追加したパラメータの推定方法と、推定量の性質については議論できていないことが今後の課題といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針は以下のとおりである。 ・リンク関数に追加したパラメータの推定法の確立。 ・実データへの適用。 ・小標本の場合の推定量の修正。
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Causes of Carryover |
本年度においては、購入予定の書籍が海外からの流通制限により購入できなかったものがあった。次年度においては、必要書籍の購入に加え、学会発表と論文執筆等に使用する。
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