2021 Fiscal Year Research-status Report
説明変数・目的変数が高次元でも変数増減法の下で一致性をもつ変数選択規準の開発
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20K14363
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小田 凌也 広島大学, 情報科学部, 特任助教 (10853682)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高次元漸近理論 / 変数選択法 / 多変量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 多変量モデルにおいて, 変数の次元数が標本数を超えた場合も含んでいる高次元大標本データに対して良い性質をもつ変数選択規準を構築することである. 特に, 変数の個数が標本数を超えても実行可能な変数増減法の下で, 真の変数を選択する確率が漸近的に1となる性質である一致性をもつ規準を構築する. 目的を達成するために, 多変量モデルの1つである多変量線形回帰モデルにおいて, 標本数nは無限大だが説明変数の個数kだけでなく目的変数の個数pも標本数を超えて無限大としてよい漸近理論により一致性を評価する. 本年度の研究内容は以下の通りである. 本年度も前年度に引き続き多変量線形回帰モデルにおいて, 目的変数と説明変数の個数の和 (p+k) は標本数を超えない下で無限大でもそうでなくてもよい漸近理論により一般化情報量規準がもつ漸近性質を調べた. 特に, 昨年度では多変量線形回帰モデルにおける説明変数の選択問題を扱ったが, 本年度では目的変数の選択問題に注目し, kick-one-out法の下で一般化情報量規準が一致性をもつための罰則項の条件を導出した. さらに, 説明変数の選択問題に対して, モデルの予測の観点から重要な性質である漸近損失有効性を一般化情報量規準がもつための条件をkを固定したもとで導出した. この結果から, 標本数nのみを無限大とする場合及びp/nが0に収束する場合には一致性と漸近損失有効性の両方をもち, p/n が1未満の正数に収束する場合には漸近損失有効性をもつような変数選択規準を提案した. 上記の研究内容は, 国内学会または学術論文で発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度までの成果として変数の個数が標本数を超えない漸近理論の下で, 一致性及び漸近有効性をもつような変数選択規準を提案することができた. これにより, 変数の個数が標本数を超えないが高次元の下での変数選択規準のいくつかの性質を明らかにした. しかし本研究では, 変数の個数が標本数を超えても実行可能な変数増減法の下で一致性をもつ規準を構築することを目的としており, 変数増減法の下で規準が一致性をもつための条件を導出していない. また, 前年度に計画していた推進方策の進度も遅れていることから「やや遅れている」という評価をした.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進歩状況を踏まえて, これまでに得られた研究成果と絡めつつ, 以下のように研究を進めていく. まず, 多変量線形回帰モデルにおいて, 標本数は無限大であり説明変数の個数は標本数を超えて無限大となる漸近理論を用いて変数増減法の下で一般化情報量規準が一致性をもつための条件の導出を試みる. 変数増減法の下での条件導出に困難が生じた場合には, 変数増加法・変数減少法に対応する変数選択法それぞれで一致性をもつための条件を導出し, これらの結果を組み合わせることで変数の個数が標本数を超えても一致性をもつ変数選択法を提案する. そして, 上記の結果を利用することで, 目的変数が標本数を超えても計算可能となるよう規準を修正し, 標本数は無限大だが説明変数だけでなく目的変数も標本数を超えて無限大としてよい漸近理論により一致性の評価に取り組む.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの拡がりによる学会発表のための出張の取り消し, また, 研究進歩状況から論文掲載料の使用を見送ったため当該助成金が生じた.これは次年度の使用計画に加え,学会発表のための出張や論文掲載料に用いる.
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Research Products
(9 results)