2023 Fiscal Year Annual Research Report
積分付き相互作用の近似理論及び空間連続化法の確立とパターン形成への応用
Project/Area Number |
20K14364
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
田中 吉太郎 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80783977)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 反応拡散系近似 / 非局所相互作用 / 空間離散モデル / 空間連続化法 / パターン形成 / 反応拡散系 / 非局所発展方程式 / 拡散誘導不安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究課題の一つの目的は,空間方向の独立変数が離散量である数理モデル(空間離散モデルと呼ぶ)に対して,細胞や格子の大きさの形状を保存したまま連続モデルに変換,または積分方程式で近似し,空間離散モデルの新たな解析手法や数理モデリングの方法を確立することである.この連続化の研究に関しては,21年度までに,平行移動作用素や積分方程式を用いる方法論を確立し,既存の離散モデルに応用してその有用性を確かめた.そしてこれらの結果をまとめて論文として出版している.2021年3月にはこの論文の内容で,2020年度日本数学会応用数学研究奨励賞を受賞した.また22年度に日本応用数理学会の論文誌に招待され,その方法論を報告した. さらに22年度は,本連続化法の応用として,空間離散の反応拡散系を本手法で連続化したあと,連続モデルの解析方法を連続化したモデルに適用することで,パ ターン形成の基礎理論であるTuringの拡散誘導不安定化の空間離散の場合の十分条件を導き,連続モデルの場合の条件と比較を行った.この結果について現在論文執筆を行なっている. 最終23年度では本研究課題のもう一つのテーマである,高次元空間上での積分核付き相互作用の反応拡散系近似の理論構築について,特定の積分核による積分相互作用をもつ非局所発展方程式の解が反応拡散系で近似できるかどうかについて調査した. 周期境界条件が課された領域において,特定の積分核が与えられた非局所発展方程式が空間3次元の以下の場合において反応拡散系で近似できることを明らかにした.このことから高次元の場合においても,ある形の積分核が定数定常解を不安定化させること,及びその不安定化がTuringが提唱した拡散誘導不安定化とみなせることを明らかにした.現在この成果を論文としてまとめている最中である.今後は近似できる積分核の条件を緩くできないか検証する予定である.
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