2022 Fiscal Year Annual Research Report
構造体の連続変形による空間局在状態のトポロジカル生成
Project/Area Number |
20K14374
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中田 陽介 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (50745205)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トポロジー / 局在 / フォトニック結晶 / サウレスポンプ / マイクロストリップ線路 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では以下の3つの成果が得られた。i) 前年度に行なったトポロジカルコーナー状態に関する実験を詳細に分析した。実験・シミュレーションの両結果を総合することにより、構造の連続変形によりコーナー状態がポンピングできていることを示した。本成果は2022年度の物理学会にて発表された。ii) 上記の分析過程において、予期せぬ形で興味深い新知見が得られたため、3次元系への展開を進めるかわりにそれらの知見を探求した。その結果、実験で扱ったような金属構造に対する連続変形を考える際には波数空間での椅子取りゲームと実空間トポロジーの変化が競合し、モード添加や消滅を含む複雑なモード遷移が生じうることがわかった。これは誘電体のみの系では生じない現象であり、金属系の特異性を示している。この考え方の本質を抽出することで、金属表面上に現れる表面プラズモンポラリトンの形成メカニズムにおいてモード添加・消滅が本質的役割を果たすことを明らかにした。本成果に関する論文執筆を行ない、現在論文投稿中である。加えて、実空間トポロジー変化を活用したデバイスに関しても実験を進め、その有用性を示すデータを得ることができた。iii) 初年度に見い出した2次元フォトニック結晶のひねり操作で生成されるエッジ状態についても研究を進めた。マイクロストリップ線路で構成される二次元線路のユニットセルを少しずつひねり一部を取り除く操作を考えると、境界でエッジモードを生み出すことができる。このエッジモードを実験で観測することにも成功した。
3年間の成果を総合すると、本研究課題によって構造の連続変形がもたらす多様なトポロジカルポンピング現象を明らかにすることができた。さらに、金属構造ならではの予想外の現象を見い出すとともにトポロジー変化にともなうデバイス応用への足掛かりも得られた。
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