2022 Fiscal Year Annual Research Report
Numerical simulations of strongly entangled states: Sampling by matrix product states
Project/Area Number |
20K14377
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
後藤 慎平 東京医科歯科大学, 教養部, プロジェクト助教 (90754739)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有限温度量子多体系 / 数値シミュレーション / 行列積状態 / 量子ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、研究期間内に得られた成果を投稿論文としてまとめると共に、29th International Conference on LOW TEMPERATURE PHYSICS 及びアメリカ物理学会 March Meeting において発表を行なった。研究期間の前半で開発した古典計算機向けの有限温度状態の数値シミュレーション手法を、量子計算機上で動かすという設定の下でエンタングルメントに関する制限を緩和することでそのサンプリング効率がどのように変化するかを調べた。結果としてエンタングルを生成する Trotter ゲートを可積分 Hamiltonian から作るか非可積分 Hamiltonian から作るかによって、サンプリング効率がシステムサイズと共に増加していくか否かが決まるという知見を得ることができた。つまり非可積分 Hamiltonian による chaotic なダイナミクスが効率的な動作に必要となる。この成果は量子計算機上で古典計算機における thermal pure quantum state 法と同様のシミュレーションを行う際に重要となり、また我々が開発した古典計算機向けの有限温度量子系のシミュレート手法における Trotter ゲートの選択方法にある程度の指針を与える。この成果は Physical Review B 誌に掲載された。
本研究期間全体を通して得られた成果としては主なものは上述の古典計算機向けの100サイトスケールの有限温度量子系のシミュレート手法の開発、そしてその動作における非可積分ダイナミクスの重要性を見出したことである。またこれらの手法を開発するにあたり擬一次元系での行列積状態のダイナミクスの取り扱い方法についても開発を行なった。以上が本研究事業で得られた主な成果である。
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