2021 Fiscal Year Research-status Report
Nonreciprocal electrodynamics in magnetochiral metananoparticles
Project/Area Number |
20K14380
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
黒澤 裕之 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (20708367)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メタマテリアル / ナノ粒子 / 磁性 / カイラリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に構築した磁気カイラル・ナノ粒子に働く電磁気力の理論について,数値計算を用いてその妥当性の検証を行った.磁気カイラル・ナノ粒子として,一様な磁化をもつ磁気ナノ粒子が等方的な光学活性を示すカイラル物質によりコーティングされた系を考えた.このナノ粒子に平面波を対向させて入射する.これにより相反成分が打ち消され,非相反電磁気力のみがナノ粒子に働く.ナノ粒子に働く電磁気力は光の輻射力の計算手法として知られているMaxwell応力テンソルの表面積分により求めた. まず直線偏光かつ磁化方向がFaraday配置の場合の電磁気力を計算した.輻射力スペクトルは,ナノ粒子の共鳴周波数で有意な値を示し,非相反な電磁気力がナノ粒子に働いていることが示された.この電磁気力は磁化方向およびカイラリティの反転操作に対して極性が反転し,磁化またはカイラリティが存在しない系では消失した.つまり,非相反電磁気力が磁化とカイラリティに関する奇関数であることが分かった.また,輻射力スペクトルは波長が短い領域で顕著な値を示し,波数のべき乗に比例していた.これらの特徴は昨年度に構築した理論結果と一致する結果である.更に円偏光入射の場合の電磁気力を計算したところ,入射方向に対して横方向に働く電磁気力が存在することが分かった.直線偏光入射の場合は横方向に働く電磁気力は存在しない.このような偏光依存性は光スピンによる効果であることが示唆された. 磁化方向がVoigt配置の場合も磁気カイラル・ナノ粒子に働く輻射力を計算したところ,直線偏光入射においても横方向に働く電磁気力が存在することが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
磁性とカイラリティを同時にもつナノ粒子の電磁気力について,一様な磁化および等方的なカイラリティを持つ場合の数値計算による検証は完了した.しかし,昨今の半導体不足によって購入予定であった計算サーバーの納入に4ヶ月ほど要してしまい,実際のナノ粒子の形状を考慮した数値計算の開始が遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
納入された計算サーバーによる本格的な数値計算を開始する.カイラリティを系に与えるための現実的かつ巨大な光学活性を示すカイラル構造を考案する.この構造を磁気ナノ粒子の表面に配置することで磁気カイラル・ナノ粒子とする.Maxwell応力テンソルを用いてこのナノ粒子に働く光輻射力を評価し,実際の系で非相反電磁気力を評価する予定である.
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Causes of Carryover |
半導体不足を背景に計算サーバーの納品に4ヶ月ほどを要してしまい,数値計算を用いた本格的な研究が遅れてしまった.そのため現在のところ研究成果を論文にまとめる段階まで到達していない.そのため研究期間を1年延長し,その期間で論文を出版する計画である.次年度使用額はこの論文出版費用や発表旅費に充てる計画である.
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