2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K14396
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青山 拓也 東北大学, 理学研究科, 助教 (80757261)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルチフェロイクス / 圧力誘起超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では精密に制御した圧力下においてはしご型鉄系化合物の超伝導性と極性の研究を行うことを目的としている.はしご型鉄系化合物の基底状態は,擬一次元的な結晶構造に起因した強い電子相関効果によって反強磁性絶縁体となる.なかでもBaFe2Se3は圧力誘起超伝導性を示すことから,多軌道強相関電子系における超伝導性を研究する格好の舞台である. 本申請ではBaFe2Se3が示す低対称なブロック型の磁気構造に着目する.申請者はBaFe2Se3における光の第二高調波発生の測定によって,低対称なブロック型の磁気構造に由来する極性結晶構造への相転移が400 Kにおいて生じていることを明らかにした.そこで本研究では,圧力・磁場中における電気抵抗率測定によって圧力誘起超伝導と極性相の関係を明らかにすることを目的として,(1)BaFe2Se3の高圧下電気抵抗率・ホール抵抗率測定,(2)BaFe2(S_1-xSe_x)3固溶体の,(3)新たな物質系の探索を行なった.その結果,極性の発現が軌道秩序に起因していること・ BaFe2Se3における極性軌道秩序は4GPaで軌道状態のフロップを生じること・同様の軌道状態フロップはBaFe2S3との固溶によっても生じることを明らかにした.また,新物質系としてBaFe2(S_1-xTe_x)3の合成に成功した.以上の結果をもとに,梯子型化合物BaFe2X3の構造パラメータと電子相の関係を議論し,軌道選択的超伝導が発現している可能性を指摘した.
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Research Products
(4 results)