2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K14397
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
LUSTIKOVA JANA 東北大学, 先端スピントロニクス研究開発センター, 助教 (90847964)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超伝導 / トポロジカル超伝導体 / スピン流 / スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はトポロジカル表面状態を有する超伝導物質におけるスピン注入・スピン流伝搬の観測及びその伝搬距離並びに寿命の評価である。これによってトポロジカル超伝導体の物性の理解への貢献を目指すのと同時にトポロジカル超伝導材料の新奇物性の探索による新たなスピントロニクス機能性の実現を狙う。 以上の目的を達成するために、本年度は以下の研究項目を実施した。 (1)トポロジカル超伝導体の候補物質として注目されている超伝導を示すトポロジカル半金属の単結晶を作製し、物性評価を行った。この材料及びトポロジカル超伝導が既に実験研究によって報告されている材料から結晶の剥離法並びにナノ微細加工によって強磁性金属の電極を有するナノスケールのスピン分極測定デバイスの作製に成功した。 (2)上記の方法で作成したデバイスの一部において超伝導転移温度付近では強磁性電極の磁化配置に依存する電気抵抗を観測し、スピン分極の電気的検出の予備結果が得られた。スピン注入の強磁性電極とスピン検出の強磁性電極との間の距離はスピン拡散長(本研究の対象である強いスピン軌道相互作を有する物質では通常数nm)より一桁長いことから長距離伝搬性の可能性が示唆される。更に、このスピン依存電気信号は超伝導のコヒーレンス長より大きい長さスケールにおいて観測されたことから強磁性電極の近接効果によるスピン一重項クーパー対の単なる消滅とは異なる現象であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、対象物質の単結晶が得られ、ナノ微細加工によってこれらの単結晶から薄膜の測定デバイスを作製し、超伝導物質において強磁性電極の磁化配置に依存する電気抵抗の予備結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立したデバイス作製法を利用し、第二年度はスピン依存の電気抵抗の詳細な温度依存性及び伝搬距離依存性等を系統的に調べる。これらを超伝導相図並びに物性の特徴的な長さスケールと比較し、電気測定を通してトポロジカル超伝導体やその候補物質におけるスピン輸送現象の理解を目指す。
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