2021 Fiscal Year Research-status Report
Ultrasound measurements under megagauss fields
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20K14403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 肇宏 東京大学, 物性研究所, 助教 (20845987)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超強磁場 / 超音波 / 液体酸素 / 量子スピン |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に開発した手法に関する論文を執筆し、Rev. Sci. Instrum.誌に掲載することができた。出版した論文ではMnCr2S4, green dioptase, 液体酸素の超音波測定の結果を報告した。これは100T以上の超強磁場領域で超音波物性測定に成功した最初の論文である。また液体酸素に関しては超強磁場物性を議論した論文をPhys. Rev. B誌に掲載することができた。ここでは複数の測定手法を用いた実験結果を報告しており、本申請で開発された手法は大きなウエイトを担っている。本研究のメインターゲットの一つであった、磁場誘起液体ー液体相転移の観測には至らなかったものの、酸素という純物質の音波物性を超強磁場領域まで報告できたことは大きな意味がある。 本年度はこの測定手法を用いて、2次元量子スピン磁性体SrCu2(BO3)2の超音波物性を150Tまで測定することに成功した。得られた測定結果は過去の磁化・超音波測定の結果とおおよそ良い一致を示しながら、140T付近で飽和磁場に対応する異常を示した。また飽和磁場近傍にいくつかの磁気転移に対応する異常を観測することに成功した。この物質における物性を飽和磁場まで測定したのは本研究が最初である。得られた実験結果に関して、現在スイス・オランダの理論研究グループと議論を進めているが、理論計算との合致もおおむね良好である。共著者との議論が収束次第、論文の執筆を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の技術開発を踏まえ、実際にいくつかの物質における物性測定に成功した。論文執筆も並行して進んでおり、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初に予定していた対象物質は全て測定が終了した。今後は外部ユーザーを含め、より広範な物質において測定を拡張していくよていである。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響により学会がオンライン開催となり、交通費や宿泊費が削減されたため。この予算は次年度に繰り越し、物品購入費として有効活用する。
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Research Products
(3 results)