2022 Fiscal Year Research-status Report
Topological control and topological phenomena of active matter
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20K14426
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西口 大貴 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20850556)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アクティブマター / 集団運動 / アクティブ乱流 / カオス / バクテリア / 高次元力学系 / 非平衡物理学 / 生物物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、昨年度に引き続き、バクテリア数密度の時空間的なゆらぎを検出する手法の検討を進めた。新たな共焦点顕微鏡の導入により、バクテリア数密度の可視化をより効率的におこなえるようになった。この実験系において、十分な蛍光強度でかつ光毒性や褪色が少なく長時間観察できる実験条件の検討を進め、外部からの染色や各種蛍光タンパク質発現株を試した結果、望ましい実験条件を見出すことができた。 同時におこなっていた、アクティブ乱流の境界条件の詳細な理解のための単体のバクテリアにおける遊泳と障害物の相互作用の空間次元依存性の実験については、流体数値計算を加えることで論文としてまとめ、出版された。 また、実験の撮影条件の検討等と並行して、実験系の設計をおこなうための数値計算コードの改良をおこなった。GPUベースで高速な数値計算が可能なコードを開発した結果、アクティブ乱流の障害物や壁の存在下での振る舞いを速やかに予測し、実験系の設計のスループットを向上で愛することに成功した。この技術を活用することで、従来の手法では困難であった、円形領域内などの閉鎖系におけるアクティブ乱流の秩序状態の詳細を高解像度で捉えることができるようになった。特に、小さな半径の円形閉じ込め内でアクティブ乱流が秩序化し、安定な1つの渦を形成する状態から、半径を大きくしていくに従って渦が乱れて、最終的にバルクのアクティブ乱流へと至る道筋を詳細に調査した。結果、振動解やカオス解を行き来するリエントラント転移を示ししつつ乱流へと至るという現象を発見した。これは、慣性乱流などで知られているいずれの乱流化シナリオにも合致せず、また低次元力学系の言葉では説明できない、高次元力学系の未知の転移であることを、振動周期やLyapunov指数、周波数スペクトルなどの解析から明らかにした。本研究について論文化の準備をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
導入予定だった顕微鏡の納品が、半導体不足等の社会情勢の影響を受けて年度末までずれ込んだため、研究期間延長をすることとなった。しかし実験面での遅れを補うために、数値計算による実験系の予測手法を精緻化するなかで、アクティブ乱流化のシナリオについて新たな理解を得ることができた。数値計算や理論面では当初の想定よりも順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな顕微鏡での撮影条件を確立できたため、この条件に基づいて必要な実験系を微細加工により作成し、密度揺らぎの精密測定実験を実施し、その解析をおこなう。また、作成したGPUベースのコードでは任意形状の境界におけるアクティブ乱流の予測をおこなえるため、これを用いて新たな実験系のデザインをおこない、必要に応じて実験をおこない、検証を行う。
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Causes of Carryover |
顕微鏡をはじめ購入を予定したいくつかの実験装置の納期が非常に長くなっており、実験費用を次年度へ繰り越すこととなった。また、今年度作成した数値計算コードによる予測結果も踏まえて、実験系の設計の見直しも必要となった。来年度は、必要な実験機器類を早期に調達し、速やかに最終目標へ向けた実験を実施する。
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Research Products
(26 results)