2022 Fiscal Year Annual Research Report
重力下における擬二次元泡沫滴の動的挙動とメカニズム解明:ミクロとマクロな視点から
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20K14431
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
谷 茉莉 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (10822950)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソフトマター / 泡沫 / ピンチオフ |
Outline of Annual Research Achievements |
液体内部に気泡が多数押し込められたものを泡沫(foam)と呼ぶ.泡沫は液体と気体両方の性質を持つため高い機能性を実現し,それを利用した様々な製品が我々の日常生活に多くみられる.例えば,洗顔フォームや洗剤は少ない液量での高拡散性,高粘弾性,高吸着性を利用しており,消火泡は外気の高遮蔽性を利用したものである.これらの機能性を最大限に活かすためには,泡沫の動力学の理解と制御が重要となる.しかし,泡沫のマクロな動的挙動は,泡沫内のミクロな構造変化とカップリングしており,泡沫を一様な連続体として扱うのは難しい.また,パラメータを制御した実験や定量的な評価も難しく,泡沫の物理的理解に は至っていないのが現状である 本研究課題で我々は,ミクロとマクロな視点から泡沫の滴の重力下での動的挙動とそのメカニズム解明を目指し,研究を行った.具体的には,擬二次元セルに泡沫滴を閉じ込め,重力下での泡沫滴の動的挙動を調べた.その結果,(a)泡沫中で排水された液体が泡沫滴下端に溜まった後にちぎれる「ピンチオフモード」と,(b)液体はちぎれずに泡沫滴が一体となって下降する「非ピンチオフモード」があることがわかり,2つのモードの境界を実験と理論から明らかにした.令和3年度末に査読論文で報告し,大学からプレスリリースを行った. 令和4年度は,以上の成果に対して,国内研究会で招待講演を行ったほか,国内外の学会・研究会で口頭発表を行った.また,閉じ込められた空間での泡沫のマクロな運動に対して,別の観点からも共同研究を行い,泡沫の物理的理解を進めるとともに,現在論文投稿中である. このようなメカニズムの解明は,泡沫を特定の場所に長時間保持させるために重要であり,効率よく有効成分の機能を発揮させることが可能となる.したがって,研究成果は学術面のみならず,産業界へも重要な知見を与えると考えている.
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Research Products
(15 results)