2021 Fiscal Year Research-status Report
大域的電磁ジャイロ運動論の構造保存アルゴリズム開発
Project/Area Number |
20K14449
|
Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
白戸 高志 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所研究所 核融合炉システム研究開発部, 研究員 (10827520)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 計算物理学 / プラズマ物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はVlasov-Maxwell系に対する新しいコンセプトの保存スキーム開発と、不連続Galerkin (DG) 法において磁場のソレノイダル条件を満たすのに必要な手法の一般座標系への拡張を行った。 前者は物理空間をオイラー形式、速度空間をラグランジュ形式により記述する計算法であり、Vlasovシミュレーションとparticle-in-cell (PIC) 法の中間的性質を持つ手法としてデザインされた。本手法ではPICとは異なり粒子の空間的な移流とMaxwell方程式を同一の計算スキームにより離散化することが可能であり、荷電粒子及び電磁場に対して矛盾無く数値誤差が混入することから、運動量保存則とエネルギー保存則を両立することが可能となる。この研究の成果をまとめた論文は、現在出版に向けて査読が行われている。 後者は電磁場を含む数値シミュレーションにおいて、磁場のソレノイダル条件を満足するのに有用であると認識されているlocally divergence-free DG法を一般座標に拡張したものである。これは磁場をダイバージェンスフリーな基底関数ベクトルのみを用いて表現する手法であるが、デカルト座標系や円筒座標系のように特定の座標に対する手法は既に提案されているが、任意の座標系に対して適用可能な手法は提案されていない。本研究では、磁場そのものではなく反変磁場成分とヤコビアンの積を基底関数により展開することで、いかなる座標系にも使用可能な手法を開発することに成功した。磁場のソレノイダル条件は運動量保存則の導出に必須の概念であることからその有用性は高く、現在は論文の投稿に向けて様々なケースの数値実験による検証を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
周辺プラズマに対してジャイロ近似が成立するか疑わしいというのが核融合プラズマ理論研究者の共通認識であるが、米国ではジャイロ近似を行わない6次元コード開発に方針転換するグループが現れ始めている。本研究でもこの流れに追随すべく6次元シミュレーションへの方針転換を決断したため、支配方程式の数学的構造の再検討を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
6次元シミュレーションのモデルとして、荷電粒子が真空中の光速度よりも無視できるほど遅いことを仮定したVlasov-Darwinモデルを想定している。このモデルと保存則の関係は内点に関しては既に調査を完了しているものの、境界条件の影響により保存則が破られる可能性があることを確認した。今後は境界条件を含めた離散システムにおける議論を継続する予定である。
|
Causes of Carryover |
本研究課題は新型コロナウイルス感染症が認知される以前に応募したものであり、予算の内訳として旅費が最も多くなっているにも関わらず、ほぼ全ての会議がオンライン開催となっているため次年度使用額が非常に大きくなっている。最終年度も学会の開催方式を事前に予測することが困難であり、必要に応じて補助事業期間の延長も視野に入れて研究を進める予定である。
|