2023 Fiscal Year Annual Research Report
大域的電磁ジャイロ運動論の構造保存アルゴリズム開発
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20K14449
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
白戸 高志 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (10827520)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 運動論プラズマ / 数値計算法 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、Vlasov-Darwin 系に対する電荷・正準運動量・ハミルトニアン保存スキームに関して前年度までに得られた成果をまとめて、学術誌 Journal of Computational Physics への投稿を行った。また、投稿当初は空間1次元に限定した議論を行っていたが、査読者から空間多次元への拡張について議論を行うように指示があった。そのため、スキームを3次元に拡張するとともに、2次元コードを新たに開発して追加の数値実験を行った。なお、支配方程式として新たに開発したモデルを採用した都合により、標準的な査読期間よりも大幅に超過し、オープンアクセス化のために確保していた財源を返還する結果となった。 研究期間全体を通じて得られた成果を総括する。前半では、particle-in-cell (PIC) 法やメッシュ法に代わる運動論プラズマのための第3の計算法として、hybrid Lagrangian-Eulerian (HLE) 法を開発した。これは、PIC法における超粒子の概念を拡張して、超粒子の空間におけるダイナミクスは差分法により扱う一方、速度空間はラグランジュ法により扱うアプローチである。また、速度空間をラグランジュ法により扱うプラズマの計算法としては初めて、電荷・運動量・エネルギーを厳密に保存できることを証明した。後半では、ジャイロ運動論の適用限界を超えた場所を扱うことのできるモデルである、Vlasov-Darwin系に対する理論シミュレーション研究を実施した。従来まではDarwinモデルに対してはCoulombゲージしか用いることができないというのが定説であったが、導出過程の見直しによりLorenzゲージに対する拡張に成功した。また、この系における真の保存量は正準運動量とハミルトニアンであることが判明し、これらを保存するアルゴリズムの開発にも成功した。
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