2020 Fiscal Year Research-status Report
統一的な世代構造におけるCPの破れの探索とその観測的検証
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20K14459
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
梁 正樹 埼玉大学, 理工学研究科, 非常勤講師 (50815941)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニュートリノ振動 / 世代構造 / CPの破れ / フレーバー物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
・μ-τ reflection対称性という一般化されたCP対称性をup-typeクォークとdown-typeクォーク別々に課し、いくつかの仮定を世代構造に課すことによって、CKM行列の混合とCP位相をほぼ説明した。同じ対称性と構造をレプトンセクターに仮定すると、MNS行列の混合も説明でき、予言としてディラック位相 δ_{CP} ≒ 202度、最も軽いニュートリノ質量としてm_{1} ≒ 2.6 or 6.2 [meV]、二重ベータ崩壊の有効質量として|m_{ee}| ≒ 1.24 or 0.17[meV]が得られた。これらの物理量はハイパーカミオカンデなどの将来実験による検証が期待される。 ・そこから等価な基底変換を行うことによって、diagonal reflection symmetriesという標準模型における新しいCP対称性を提案した。この基底において、直前の研究の仮定はよく知られたfour-zero texture (m_{f})_{11} = (m_{f})_{13,31} = 0 for f=u,d,e,νとなった。このシステムはレプトンセクターに8パラメーターしか持たないので、既存の観測量からニュートリノの物理量をすべて予言できる。さらに、同様の構造をニュートリノ湯川に課すと、シーソー機構により右巻きニュートリノの質量行列 M_{R}も決定できるため、宇宙のバリオン非対称を説明するレプトジェネシスへの応用が期待できる。 ・Lμ-Lτ模型においては、Hubble tensionと(g-2)_μ anomalyを同時解決できるようなパラメータが存在するかを探索した。新たな軽い粒子としてMajoronとZ'を考えた場合に、実験による有効ニュートリノ数N_{eff}への制限からパラメータ空間に対してどのような制限がつけられるかを議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、統一的な世代構造とCP対称性の破れを構築し、CPを破る物理量の解析から模型の観測的検証を行うことである。研究は順調に進行しており、査読付き論文を2本、査読中の論文を2本執筆した。また、国内学会での発表を3回行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、diagonal reflection symmetriesという対称性の性質や、four-zero texture以外の特徴的なtextureとの関係を精査していく。また、左右対称模型などの統一模型への埋め込みやフレーバー対称性の破れとの関係を議論する。 Lμ-Lτ模型においても、昨年度から継続して行っている研究を発展させ、より大きなパラメーター領域で計算が行えるように発展方程式形を拡張する。
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Causes of Carryover |
当初は予算の多くを学会参加費にあてる予定だったが、2020年のコロナウィルス蔓延状況により多くの学会がzoom開催となり、予定よりも予算が余ったため、科研費の用途に大きな変更が生じた。来年度は秋の物理学会が現地で開催される予定なので、その旅費にあてる予定である。
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