2023 Fiscal Year Research-status Report
Calibration of the absolute energy scale of gamma-ray telescopes with balloon toward dark matter detection
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20K14484
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 光成 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 特任助教 (60838960)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 紫外線LED / 気球 |
Outline of Annual Research Achievements |
気球に搭載する紫外線LED光源の試作品の開発を行った。この光源は地上から10km上空で光らせた場合に大気チェレンコフ光観測用の光学望遠鏡(口径23mのものを想定)で検出できる必要がある。紫外線LED1個の測定結果によると、そのためには約40個を同期して光らせる必要がある。しかし開発費用が予想以上に膨らんだためまず10個を用いた試作品を作ることにした。設計は以下の通りである。プリント基板で正二十面体を作り、そのうちの5面にハイパワー紫外線LED(波長308nm)を2個ずつ配置した。また複数の波長で測定を行うためと、紫外線よりも試験が容易であるという観点から、可視光のLED(波長530nm、網膜への影響が少ない)も搭載した。正二十面体基板は直径がおおよそ19cmの大きさである。正二十面体の内部にLEDドライブ回路を格納する。ドライブ回路にはリチウムポリマー電池から電力を供給する。リチウムポリマー電池は6Vという比較的高い電圧を出力しLEDの輝度を上げられるという点、および気球が海や山など回収が難しい場所に落下した際に害になる可能性があるカドミウム等の使用を避ける観点から選択した。これらのLED、基板、回路を格納するディフューザー兼カバーを紫外線透過アクリルで覆う。紫外線透過アクリルは透過率が広い範囲の波長で85%以上のものを選択し形状は同じく正二十面体で直径およそ25cmとした。以上のLED搭載回路、ドライブ回路、アクリルカバーの製作を業者に発注し納品された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度に光源の温度依存性・角度依存性・耐久性の試験と気球の開発・試験を行う予定だったが、光源の各試験と気球の発注が完了しなかった。これは本研究で較正の対象として想定している望遠鏡の開発において緊急のタスクが発生し時間が割かれてしまったことが主な理由である。また気球については水平方向に風で流される距離をどこまで許容するか検討中であることが影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
光源の試作品は紫外線LEDの数が少ないため望遠鏡で検出可能な輝度は持たない。そこで技術実証という位置づけで試作品を用いて温度依存性・角度依存性・耐久性・安定性などの各試験を行う。並行してフルスペックの光源を製作するための新規の予算や機材の調達を測る。また、気球に関しては必要な仕様はほぼ定まったため、残る水平移動が許容範囲かどうか検討した上で発注に進み、納品後まずは国内でフライトの試験を行う。ヘリウムガスの充填、放球、GPS位置情報の取得・追跡のノウハウを得る必要がある。気球実験の経験を持つ研究者からの助言を仰ぎつつ進める。
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Causes of Carryover |
計画が遅延し、気球やその放球に用いる物品の発注が進められなかったため。次年度は速やかに気球の仕様を決定し、購入を行いたい。
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