2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of an ambient magnetic field compensation system in an accelerator facility for the neutron electric dipole moment measurement
Project/Area Number |
20K14487
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樋口 嵩 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (90843772)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 素粒子物理学 / 基本的対称性 / 電気双極子モーメント / 超冷中性子 / 加速器 / 磁場安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、TRIUMF研究所における中性子電気双極子モーメント(Electric Dipole Moment, EDM)探索実験のための環境磁場補償システムの開発を行う。目標とする精度での測定にはサイクル毎10fT程度の極めて高い磁場安定性を要する。4層の磁気シールドルーム(Magnetically Shielded Room, MSR)と原子共存磁力計を用いることでこの要請を達成できる見通しであるが、実験装置が設置されるTRIUMFの加速器施設内には、主にサイクロトロンの漏れ磁場による、最大約350 uTの強い背景静磁場が存在し、MSRに用いられる高磁化率材ミューメタルを飽和させてしまう恐れがある。そこで、本研究では、MSRの性能を保つため、磁気シールドを取り囲むコイルによって加速器施設内の環境磁場を打ち消す環境磁場補償システムを開発する。
これまでに、装置が置かれるTRIUMF研究所の実験エリアにおいて3次元磁場マップを取得し、それを組み込んだ有限要素法による磁場シミュレーションによって、およそ1000アンペア・ターンのコイル起磁力が必要であることを明らかにした。 2022年10月から、MSR の建設が始まった。本研究で開発する環境磁場補償システムの性能評価のためには、MSRの遮蔽性能にサイクロトロンの漏れ磁場が与える影響を評価することが第一歩となる。遮蔽係数測定の参照測定として、2022年10月に、MSR建設開始前に変動磁場発生用コイルによって発生される磁場の測定を行った。また、2022年10月から2023年1月には、MSRの消磁手法を確立するため、実際のMSRよりも小型の75cm立方の2層磁気シールドを使ってミューメタルの消磁試験を行った。それにより、厚さ2mmのミューメタルを消磁するには約3Hz未満の遅い変動磁場を使用する必要があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該環境磁場補償システムは、磁気シールドルーム(MSR)の建設工程と合わせて設置する必要がある。世界的なサプライチェーンの乱れの影響を受け、MSRの建設スケジュールが当初よりも遅延した影響で、環境磁場補償システムのインストールも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年5月現在もMSRの建設は進行しており、2023年11月に完成予定である。2023年度は、建設の各段階においてMSRの遮蔽係数測定を行う。また、MSR完成後に環境磁場補償システムを設置し、サイクロトロンの漏れ磁場による環境磁場がMSRの遮蔽性能や消磁のパフォーマンスに与える影響を評価し、それらを環境磁場補償システムによって低減できるかどうかを評価する予定である。
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Causes of Carryover |
世界的なサプライチェーンの乱れの影響を受け、磁気シールドルームの完成が遅れ、それに伴い、磁気シールドルームの周りに設置される環境磁場補償システムの製作予定が遅れた。現在のところ、2023年11月に磁気シールドルームの完成と環境磁場補償システムのインストールを計画している。
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Research Products
(24 results)