2021 Fiscal Year Research-status Report
次世代CMB偏光観測衛星の観測感度向上を目的とした広帯域シリコン光学素子の開発
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20K14506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷部 孝 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (30794169)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / 宇宙マイクロ波背景放射 / マイクロ波光学 / ドライエッチング / 反社防止コーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シリコン平板にドライエッチング加工を施すことにより、これまでにない広帯域かつ高周波での反射防止コーティングを実現する。 本年度は、35mm角のサンプルを使用し、3段のドライエッチング加工に挑戦した。各層の溝幅および溝深さのコントロール、形状の垂直性の向上について検証を行った。複数のサンプルを用いた試験加工によって、エッチング時間に対する形状パラメータの変化をモデル化することに成功し、設計値に対して誤差1%以内という高い精度での形状加工に成功した。また、多段加工時に生じるエッチングガスの堆積による加工形状の乱れを、プロセス途中にO2ガス照射を導入することによって解消した。 片面に加工を行ったシリコン平板を2枚作成し、互いの裏面を研磨したのち、イオンビール照射による表面活性化を行うことで、常温での基盤接合を行った。この作業は外注にて行った。これによってシリコン両面に加工を行ったサンプルが完成した。 低温での透過率測定試験を、国立天文台先端技術センターにて実施した。サンプルを25mm角にカットし、冷却デュワーに設置し約20Kまで冷却を行った。光源にはフーリエ干渉型分光計を用いた。透過率測定の結果、200-450GHzにおいて平均透過率98%を達成し、目標とした光学性能を達成した。また透過スペクトルはシミュレーションのよる計算結果ともよく一致していることを確認した。 本試験の結果を論文にまとめ、Applied Optics誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言の発令などの影響により外部機関利用による測定が一時中断するなどの影響が生じ、研究計画に数か月の遅れが生じた。緊急事態宣言解除後の研究が円滑に進行したこともあり、研究の進捗状況としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
3段のドライエッチング加工の実証に成功したので、今後はさらなる広帯域化の可能性を検証する。具体的にはドライエッチングを用いたテーパ形状加工について研究を行う。また研究代表者の所属機関移転を考慮し、使用するクリーンルームを変更するなどの手続きを進行中である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言などの影響によって研究計画に数か月の遅れが生じた。その結果、本来使用予定であったクリーンルーム利用にかかわる使用料が未使用となる事案が生じた。次年度は未執行分をクリーンルーム使用料として残りの研究計画を遂行する。
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Research Products
(3 results)