2022 Fiscal Year Annual Research Report
次世代CMB偏光観測衛星の観測感度向上を目的とした広帯域シリコン光学素子の開発
Project/Area Number |
20K14506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷部 孝 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (30794169)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 宇宙物理学 / 宇宙マイクロ波背景放射 / 反射防止コーティング / シリコン / ドライエッチング |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はデバイス作成の拠点をJAXA相模原キャンパスから東京大学浅野キャンパスにある武田先端知クリーンルームへ移動した。前年度に平面加工で確立した多段ドライエッチング加工の技術を、曲面加工へ発展させるための研究を行った。 曲面への加工では、平面と同様にフォトマスクによるパターン転写を行っても精度のよいパターンは得られない。そこで文部科学省ナノテクノロジープラットフォームを利用し、豊田工業大学マイクロメカトロニクス研究室の佐々木実教授に、水溶性フィルムを用いた曲面へのパターン転写の技術代行を依頼した。 本手法では、まずポリビニルアルコール(PVA)フィルムにフォトレジストを塗布し、フォトマスクを用いてレジストにパターンを露光する。次にフィルムのレジスト塗布面をシリコンレンズ曲面に真空チャンバー内で吸着させる。PVAフィルムを水で溶解させた後、レンズ曲面に吸着したレジストのパターン現像を行うことで、曲面上に精度のよいパターンを得る。 本研究では直径25mm、曲率半径130mmの平凸シリコンレンズの曲面に単層のパターン転写が可能かどうか試験を行った。その結果、レンズ曲面に180マイクロメータ周期、幅128マイクロメータの正方形パターンを転写することに成功した。 その後武田先端知クリーンルームにてドライエッチング加工を行うことでシリコンレンズ曲面にほぼ設計値に等しいパターンが加工できることを確認した。 この成果によって本研究で実証した多段ドライエッチング加工による反射防止コーティング技術が曲面へも展開できる見通しが得られた。
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