2020 Fiscal Year Research-status Report
Challenge for convective conundrum with large-scale numerical simulations
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20K14510
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀田 英之 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (10767271)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 太陽ダイナモ / 差動回転 / 乱流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、太陽の「熱対流の難問」について数値シミュレーションを用いた研究を行う。太陽内部は、乱流的な熱対流に埋め尽くされている。この熱対流は、太陽内部のエネルギー輸送や角運動量輸送をになっており、重要であるが近年数値シミュレーションと観測の間に大きな乖離があることが明らかになった。太陽全球スケールの熱対流の速度が合わないことや、シミュレーションで太陽差動回転が再現できないことが大きな問題となっている。 令和2年度の研究では、富岳の共用前評価環境を利用し、数値計算コードのチューニングを行った。理論ピーク性能に対して、10%程度と流体数値計算コードとしては、非常に高い性能を達成することができた。独自に開発している太陽局所領域のみを取り扱うR2D2コードと太陽全球を取り扱うAMaTeRASコードをマージし、太陽表面を取り扱いつつも太陽全球を取り扱うことができる数値計算コードR2D2として開発した。 その上で、富岳において、大規模なプロダクトランを実行した。格子点数は384x3072x6144とこれまでの世界最大の計算から大きく増加した圧倒的な規模で計算を実行した。これまでの計算では、解像度をあげると、ロスビー数が大きなレジームへ移動してしまい太陽とは異なる極が赤道よりも速い差動回転分布を形成してしまうことが、本研究計画の最終目的となっている「熱対流の難問」として知られている。我々が行った超高解像度計算では、高解像度の効果で非常に磁場が強くなり、熱対流が抑えられると言う状況を達成できた。また、太陽と同じ赤道が速い差動回転が達成されており、本科研費で目指す「熱対流の難問」の一部を解決することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
独自の数値計算コードに対して富岳におけるチューニングを早期に終わらせ高い実行性能を達成できたことは、令和2年度の大きな目標の一つの達成に対応し、計画通りに研究が進んでいることを示している。また、予想以上にチューニングの作業が早く進んだので、当初の予定では2021年度に行う予定であった、富岳における大規模ダイナモ計算の初期計算を始めることができたのは当初の計画以上の成果であった。また、こちらも予想していなかったことであるが、初期計算のみで、最終目的としている「熱対流の難問」の一部を解決することができた。こちらも当初の計画以上に進展していると評価している。一方、COVID-19の影響により、海外へ赴いた議論などの活動は一切が行えなくなってしまっている。これは2021年度後半か、2022年度以降に積極的に進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の活動によって、富岳で高性能の数値計算コードを開発することができ、2021年度の行う予定の大規模計算の初期バージョンを実行することができたので、基本的には当初の計画通りに富岳で大規模計算を行う。一方、初期計算により、必要格子点に目処がついたので、当初予定していた1024×4096×8192から512x4096x8192へと変更することを検討している。 また、COVID-19の影響で2021年度も海外渡航は厳しい情勢と予想されるので、オンラインの機会を利用して、海外研究者との交流を図るものとする。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で全ての出張が取りやめとなったので、その分で次年度使用額が生じた。次年度後半には出張が可能になると予想しており、そこで利用する。
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