2022 Fiscal Year Annual Research Report
恒星ストリームの重力多体計算で駆動する暗黒衛星銀河探査
Project/Area Number |
20K14517
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三木 洋平 東京大学, 情報基盤センター, 助教 (70734375)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重力多体シミュレーション / 銀河進化 / 銀河衝突 / 銀河考古学 / GPUを用いた演算加速 / 銀河と中心ブラックホールの共進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を遂行する上では多数回の重力多体シミュレーションを実行する必要があり,申請者がNVIDIA V100向けに最適化していた重力多体シミュレーション用コードであるGOTHICを,NVIDIA A100およびNVIDIA H100 (PCIe) 向けに調整・最適化した.その結果,A100上ではV100の1.2-1.6倍,H100上ではA100の1.3-1.4倍程度の高速化を達成した.銀河衝突シミュレーションの実行中に同時に解析処理を施すためのコード改良として,主計算である銀河衝突シミュレーションをGPU上で,副計算である解析処理をCPU上で行うことで,全体の処理を効率的して研究全体の高速化につながった. 恒星ストリームと暗黒衛星銀河の衝突実験においては,数十通りもの衝突パラメータの下で長時間シミュレーションを行い,衝突直後だけではなくその数十億年後に渡っての時間進化を詳細に研究した.これによって,恒星ストリームが暗黒衛星銀河の衝突によって受ける影響は短期的・局所的なものにはとどまらず,より大規模な影響を受けることが分かってきた.シミュレーション結果については詳細な解析を進めている段階であり,解析結果がまとまり次第,査読付き論文誌へと投稿する. また,暗黒衛星銀河の軌道分布を推定する上での手がかりとなるデータを得るべく,位置天文観測衛星Gaiaの世界最高精度の観測データに基づいて,天の川銀河周辺で観測されている衛星銀河の精密軌道計算を実施した.この軌道計算の結果からは,銀河衝突による銀河中心ブラックホール活動の停止頻度が1億年に1回程度であることも見積もられた.この推定結果は,銀河衝突と大質量ブラックホール活動の関係性を明らかにするうえで重要な意味を持ち,査読付き論文誌であるNature Astronomy誌に掲載された.
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Research Products
(1 results)