2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K14526
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
但木 謙一 国立天文台, アルマプロジェクト, 特任助教 (30726435)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 銀河天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の究極的な目的は、遠方宇宙にある楕円銀河の祖先となるような銀河を観測し、どのようにして楕円銀河へと進化するのかを解き明かすことである。 今年度はアルマ望遠鏡を用いて、赤方偏移2(およそ110億年前に相当)の時代にあるサブミリ波(870ミクロン)で0.5-7mJyの大質量星形成銀河の観測を行い、そのデータの解析・論文発表を行なった。
同様の研究については、Tadaki et al. 2017, ApJ, 834, 135ですでに研究成果を発表済であるが、以前の論文はすばる望遠鏡の観測で同定したたった12個の星形成銀河サンプルに基づいたものであった。本研究では、星質量が1e11Msun以上の銀河を完全に選んだ上でサンプル数も62個と5倍に増やしており、大質量星形成銀河のどこで星形成活動を行っているのか徹底的に明らかにしたものである。観測した銀河はCANDELS/3D-HSTフィールドと呼ばれる天域にあり、ハッブル宇宙望遠鏡の高感度・高空間分解の画像が公開データとして利用可能である。アルマ望遠鏡では今まさに星を作っている領域の空間分布を、ハッブル宇宙望遠鏡ではこれまでに作った星の空間分布を知ることできる。両者を組み合わせることで、以前のTadaki et al. 2017の結果と同様に、この時代の大質量銀河は中心1kpcのコンパクトな領域で活発に星形成を行っており、円盤成分が支配的な形態から楕円体成分が支配的な形態へと変える遷移段階にいることをより完全な大サンプルで追確認した。
この研究成果についてはTadaki et al. 2020, ApJ, 901, 74で、筆頭著者として論文を出版することできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の柱は、電波サブミリ波干渉計ALMA望遠鏡を用いた遠方銀河の観測にある。残念ながら今年度はCOVID-19の影響により、アルマ望遠鏡の観測提案書の公募が中止になってしまい、新たにアルマ望遠鏡の観測時間を獲得することはできなかった。従って今年度はすでに観測データが取得済みのプロジェクトのデータ解析・論文化が主な作業となった。
このプロジェクトでは、赤方偏移2(およそ 110億年前に相当)の時代にある大質量星形成銀河をターゲットとし、大質量星に熱されたダストの連続光放射を観測するものである。空間分解能が0.2秒角であり、これは1.7kpc程度に相当するため、z=2の銀河においても十分に空間分解することができた。アルマ望遠鏡のデータで測定したダスト放射の広がりと、すでに詳細な測定がされているハッブル宇宙望遠鏡での静止系可視光放射の空間的広がりを比較することで、これらの大質量星形成銀河は中心で活発な星形成活動をしていることを明らかにした。2020年4月、5月にデータ解析・論文執筆を集中的に行い、6月に論文をAstrophysical Journalに投稿し、2020年8月に受理された。したがっておおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度のアルマサイクル7期のプロジェクトの1つで、赤方偏移6.0(およそ130億年前に相当)の時代にある爆発的な星形成活動を伴う銀河の窒素と酸素の輝線放射の観測を行っている。すでに観測は部分的に実行され、手元にあり、今後はこのデータを速やかに解析し、世界に先駆けて成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、全ての国際会議がキャンセルされたことが主な理由である。翌年度は国際会議への物理的参加が可能になると見込んでおり、そのための旅費や解析PCの購入に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Structural Evolution in Massive Galaxies at z ~ 22020
Author(s)
Tadaki Ken-ichi, Belli Sirio, Burkert Andreas, Dekel Avishai, Foerster Schreiber Natascha M., Genzel Reinhard, Hayashi Masao, Herrera-Camus Rodrigo, Kodama Tadayuki, Kohno Kotaro, Koyama Yusei, Lee Minju M., Lutz Dieter, Mowla Lamiya, Nelson Erica J., Renzini Alvio, Suzuki Tomoko L. et al.
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 901
Pages: 74~74
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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