2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K14539
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
森脇 涼太 千葉工業大学, 地球学研究センター, 研究員 (40832019)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 火星隕石 / 火星マントル / 鉛同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では火星マントルの化学進化プロセスの解明を目的として、火星由来の玄武岩試料であるシャーゴッタイト隕石の放射性同位体組成分析を実施した。シャーゴッタイト隕石は、その地球化学的特徴からエンリッチド、インターミディエイト、ディプリーテッドの3種類に分類され、それぞれが異なる火星マントルリザバーを由来としていると考えられている。本研究では、先行研究での報告例の少ないエンリッチドおよびインターミディエイトシャーゴッタイトの分析を行った。2023年度には、前年度から継続してこれらの試料の酸分解によって得られた抽出液と残留物の鉛同位体組成分析を行ったほか、千葉工業大学所有の表面電離型質量分析計を使用して全岩試料のストロンチウム同位体組成分析を行った。得られた同位体組成に基づき、各試料の初生鉛およびストロンチウム同位体組成を推定し、マントルリザバーのミュー値(238U/204Pb)と87Rb/86Sr比を決定した。インターミディエイトに分類されるNWA 6234のマントルリザバーのミュー値と87Rb/86Sr比は、先行研究で報告されている値とは一致しなかった。この結果はインターミディエイトシャーゴッタイトのマントルリザバーが地球化学的に不均質であることを意味する。また、先行研究のデータも含めて、シャーゴッタイト全体に見られる初生鉛同位体組成の変動は、火星マントル中の2つの端成分間の混合作用によって説明できることが明らかになった。これらの結果から、火星マントル分化後のマントル対流が活発でなかったため、火星マントル中の地球化学的な不均質が生じたことが示唆される。
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