2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on mechanism elucidation of snowfall phenomena in metropolitan areas in Japan through high-resolution ensemble simulations
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20K14557
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
荒木 健太郎 気象庁気象研究所, 台風・災害気象研究部, 研究官 (40636031)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 降雪 / 大雪 / アンサンブルシミュレーション / 数値実験 / 南岸低気圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、予定通り気象研究所のスーパーコンピュータシステム上に構築した気象庁非静力学モデル(JMA-NHM)及び局所アンサンブル変換カルマンフィルタを用いた数値実験システム(NHM-LETKF)により、過去の顕著な大雪事例についてアンサンブルシミュレーションを実施し、事例解析等の研究を行った。 2014年2月14~15日に南岸低気圧の通過により首都圏で大雪となった事例について、NHM-LETKFのシステムを用いて水平解像度2kmのアンサンブルシミュレーションを新たに実施した。地上気象観測やシチズンサイエンスデータを用いた地上降水種別観測結果等から、関東甲信地方を中心としたメソスケールの降水特性と環境場の再現性の評価を行った。降雪を過小評価しているメンバーでは、そもそも低気圧に伴う降水が弱く、低気圧に伴って南海上から流入する水蒸気量が少ない傾向があった。また、降水は表現していても降雪開始前の気温場が実況よりも高いメンバーでは降雪を過小評価していた。一方で、気温場が実況並み以下のメンバーでは、水蒸気流入の量や継続時間によって降雪(降水)を過大評価しているものもあった。当初計画で立てていた仮説「南海上からの水蒸気供給量や低気圧の雲構造が重要なのではないか」における、低気圧の雲構造・降水機構と水蒸気供給量、そして降雪前の大気下層気温場が首都圏の大雪に重要であることが示唆された。 関連する研究成果や本課題での取り組みについて、一般向けの講演会や取材、書籍の執筆・刊行などを通して、アウトリーチ活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたアンサンブルシミュレーションの結果等を用いた過去の大雪事例の解析について、おおむね滞りなく実施できた。シミュレーション結果の解釈・解析手法の検討は、引き続き研究協力者と議論を重ねて研究を進めている。このことから、令和3年度の研究計画は当初の計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き観測データ整備を行うとともに、各種観測データやアンサンブルシミュレーションの結果を用いて、首都圏降雪事例における大気環境場についての事例解析を行う。なお、南岸低気圧の進路と総観スケールの環境場、降水システムの関係についてはより詳細な解析が必要と考えるため、令和4年度はこれについても追加解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のために、計画していた出張は取りやめとなった。取りやめた出張の研究打ち合わせについては、オンライン開催することで研究を遂行した。翌年度分として請求する助成金は、研究遂行に必要な消耗品の購入、英文校閲や論文投稿料等に充てる。
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