2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on mechanism elucidation of snowfall phenomena in metropolitan areas in Japan through high-resolution ensemble simulations
Project/Area Number |
20K14557
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
荒木 健太郎 気象庁気象研究所, 台風・災害気象研究部, 主任研究官 (40636031)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 南岸低気圧 / 大雪 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、次世代気象気候科学基盤ライブラリーSCALEを用いて、2018年1月22日南岸低気圧による首都圏の大雪事例について水平解像度5km、27メンバーのアンサンブルシミュレーションを実施し、解析研究を行った。 まず、東京近郊で降雪量の多かった事例を大雪メンバー、降雨量の多かった事例を大雨メンバーとした。大雪メンバーは実況とほぼ同じ降水期間を再現できていたが、大雨メンバーでは降水開始のタイミングが遅れ、地上気温が大雪メンバーよりも高い傾向にあった。この背景として、大雪メンバーでは大雨メンバーに比べて総観規模で日本海などの寒気がやや強く、西日本の南海上の気温場が高いことで、降雪前の関東平野の気温がわずかに低いことと、低気圧の発達しやすい環境場だった。また、大雪メンバーでは大雨メンバーに見られない先行降水があったことで、降水による非断熱冷却の影響で大気下層の気温が下がり、雪の降りやすい環境だった。大雪メンバーでは初期から大雨メンバーよりも低気圧が発達している傾向があり、西日本南海上で移動速度が速く、関東の南海上で移動速度が遅くなっていた。これにより、大雪メンバーでは先行降水がもたらされ、降水期間が長くなり、下層の冷却も効果的に起こることで大雪になっていたことがわかった。大雪メンバーでは低気圧発達初期には温暖前線に対応する低気圧中心の北東象限で降水による非断熱加熱が起こり、下層の正渦位アノマリーが形成されていた。移動速度が遅くなるタイミングでは、渦位の移流に伴って低気圧中心の北西象限で下層の正渦位アノマリ―が見られた。これらの正渦位アノマリ―が地上の低圧部形成に寄与し、低気圧の移動速度にも影響していた可能性がある。 関連する研究成果や本課題での取り組みについて、一般向けの講演会や取材、書籍の執筆・刊行などを通して、アウトリーチ活動を行った。
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[Journal Article] Development of ground-based microwave radiometer network and monitoring system using 1-dimentional variational technique2023
Author(s)
Araki, K., H. Seko, H. Ishimoto, T. Tajiri, K. Yoshimoto, M. Matsumoto, T. Takeda, Y. Kawano, K. Suzuki, and K. Nakayama
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Journal Title
CAS/JSC WGNE Research Activities in Earth System Modelling
Volume: 53
Pages: 1.03-1.04
Open Access
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[Presentation] 大気・雲・降水過程の理解に向けた気象庁地上マイクロ波放射計観測網の構築2024
Author(s)
荒木健太郎, 石元裕史, 瀬古弘, 幾田泰酵, 田尻拓也, 川畑拓矢, 吉本浩一, 山本健太郎, 酒匂啓司, 鈴木健司, 中山和正
Organizer
2023年度エアロゾル・雲・降水に関する研究集会
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[Presentation] 気象庁における地上マイクロ波放射計を用いた大気監視・予測研究2023
Author(s)
荒木健太郎, 石元裕史, 瀬古弘, 幾田泰酵, 田尻拓也, 川畑拓矢, 吉本浩一, 山本健太郎, 酒匂啓司, 鈴木健司, 中山和正
Organizer
VLBI懇談会シンポジウム
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