2021 Fiscal Year Research-status Report
Role of the subdaily air-sea interaction on the convection over the Maritime Continent
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20K14560
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
Zhao Ning (趙寧) 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究プログラム), 研究員 (10823130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海大陸 / 日周期対流活動 / マッデン・ジュリアン振動 / 大気海洋相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、海大陸におけるスマトラ島ベンクルでの強化観測に得られたデータと領域モデルを用いて、マッデン・ジュリアン振動(MJO)前後による日周期対流活動の変質を調べた。その結果、MJOが活発になると、スマトラ島における日周期対流活動が弱くなることを示した。そして、弱まった海陸風と深夜に生じた下降流がその原因であることが分かった。しかしながら、海陸風の弱化と下降流が生じる要因はまだ不明であった。
そのため、海陸風と下降流に注目し、そのメカニズムについて調べた。まず、モデルの初期条件による影響を除去するため、初期時刻をそれぞれ12時間ずらして、五つのアンサンブル実験を実行した。その後、アンサンブル平均を用いて、解析を行った。結果によると、MJOが活発すると、強い西風が、スマトラ島における山脈によるブロッキングの影響で、午前中に沖向きの風偏差が生じた。その偏差によって、昼間の対流活動のトリガーとなる海風を弱化した。更に、本研究では、観測及びモデルのデータに基づいて、理論的に考察し、大気が不安定となるMJO活発期でも、山脈によるブロッキングが存在していることを確認した。一方、深夜の下降流の要因を明らかにするため、陸域における非断熱加熱量の鉛直分布を調べた。 結果によると、MJO期に増えた層状雲の真下に蒸発冷却が生じるので、冷却された大気が沈降する。そのため、対流圏の中層における下降流を生じ、深夜の対流活動を抑制することが示された。加えて、海陸風の弱化と下降流の要因である西風と増える層状雲が、MJO期によく見られる現象であるため、他のMJO事例でも同様な現象が存在していることが示唆されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度及び今年度の研究実績に記載の通り、当初の計画通り進んでおり、季節内振動による海大陸における日周期対流活動の変質及びそのメカニズムを明らかにした。そして、前述の結果が、国内・国際学会で発表された上、論文としてアメリカ気象学術誌に公表された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、大規模な大気現象による海大陸における日周期対流活動の応答を調べたが、海洋変動に対する応答はまだ不明である。これから、本研究は、他年度の強化観測に得られたデータに基づいて、海大陸及び周辺海域の海面水温による、日周期対流活動の応答を調べる予定である。また、対流活動に関する水蒸気の起源を、領域モデルに基づく調べ、研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
理由:今年度は、新型コロナの影響により、国内・国際学会がオンラインで開催されたので、旅費の使用はなかった。そして、英文校閲費及び出版費用も予定金額より低くなった。 計画:解析に伴うデータ量の増加による、ハードディスクを追加購入する。また、2022年度より、国内・国際学会が現地参加可能になった場合、旅費の未使用分を利用する。
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