2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K14561
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石澤 尭史 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50849320)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 津波堆積物 / 活断層 / 放射性炭素年代測定 / 日本海溝 / 化学分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
巨大な海溝型地震の活動は周囲の応力場にも影響を与え、その結果として内陸地震活動を誘発する可能性も示唆されている。例えば、2011年東北沖地震津波の直後には福島県で内陸地震が発生した。しかしながら、巨大海溝型地震は観測記録が得られる範囲を超える数百年程度の発生頻度を持つため、過去に発生してきた巨大海溝型地震によって内陸地震活動にどのような影響があったのかは十分に理解されていない。そのような長期の地震履歴を知るためには地質学的な記録が重要であるが、過去数万年間の年代推定に一般的に活用される放射性炭素年代測定の精度の問題もあり、地震活動の関連性を検証するために十分な精度での年代推定は困難である。 上記の問題を解決するために、本研究では多点数の放射性炭素年代測定に基づく高精度年代推定法を用いて、東北地方の古地震痕跡(海溝型地震:津波堆積物、内陸地震:活断層)の年代について精査を行う。年代測定結果についてはベイズ推定を活用した統計解析により高精度化を図る。2021年度は三陸海岸中部から北部にかけての津波堆積物の年代を精査し、広域対比可能な大規模な海溝型地震による堆積物とそれ以外の小規模な地震津波による堆積物を区分した。その成果は査読付き国際誌で発表した。また青森~福島における活断層の活動時期を整理し最新の統計解析手法を用いて再解析を実施した。以上のように海溝型地震、内陸地震活動を評価するためのデータを着実に収集しており、それらの活動の関連性について次年度(最終年度)に議論を深める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、調査の延期が度々発生した。また同じくコロナウイルスの感染拡大により学外の分析機関に訪問して分析することを断られるケースもあり、研究計画の変更を余儀なくされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き東北地方における津波堆積物・活断層の年代精査を行う。新型コロナウイルスの感染拡大により調査や学外での分析が困難な場合は、既存の試料や学内にある別の分析装置を用いた代替策を取り、研究目的の達成を目指す。また本研究で得られた成果については学会発表、査読付き雑誌への投稿を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により予定していた調査が延期になった。また学外の分析機関での分析を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大により来訪を断られたため、予定していた分析費用とそのための旅費を繰り越す必要が生じた。これらについては2022年度早々に実施するため関係各所と調整中である。
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