2023 Fiscal Year Annual Research Report
小地震の破壊過程を用いた断層状態の情報抽出に基づく地震発生機構の解明
Project/Area Number |
20K14569
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 圭佑 東北大学, 理学研究科, 助教 (20743686)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放射エネルギー / 震源時間関数 / モーメントレート関数 / 地震波解析 / 地震波減衰 / 複雑性 / 震源モデル / 震源パラメータ |
Outline of Annual Research Achievements |
・日本列島の稠密な地震観測データを用いることにより、Mw3-7の地震の震源時間関数とその方向依存性を安定的に推定できることを示した。得られた震源時間関数を網羅的に調べることにより、小規模地震の多くが、大規模地震とよく似た破壊伝播指向性や複雑性を有することを明らかにした。地震波放射エネルギーを用いることにより、それらの地震の震源特性の定量化を行うことにも成功した。 ・日本の防災科学技術研究所におけるボアホール観測データを用いることにより、その変位波形から直接震源時間関数の多様性の情報を抽出できることを示した。その多様性は、従来用いられてきた地震の震源モデルと大きく乖離することも示された。ボアホールで得られる観測波形ですら地殻浅部を伝播する途中で、地震波のエネルギーが大きく減衰していることも明らかになった。 ・地震波形の振幅特性を用いることにより、地震発生域の震源近傍の非弾性減衰が局所的に高くなっていることを示した。 ・現実的な断層の摩擦構成則を用いた数値シミュレーションにより、小地震に対して推定した破壊伝播指向性の特徴から、地震アスペリティの摩擦特性 (臨界核サイズ)を推定できることを示した。 ・内陸地震の地震波形の精査により、地震発生深度においても深部低周波地震とよく似た地震波形を持つ地震群が発生していることを示した。深部低周波地震について考えられているのと同様に流体の関与がそれらの地震波形を強く擾乱している可能性を示した。
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