2023 Fiscal Year Annual Research Report
太古代苦鉄質岩中ジルコニウム鉱物3種局所分析による初期地球マントル地殻分化史解明
Project/Area Number |
20K14571
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
沢田 輝 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 助教 (10845100)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジルコン / バデレアイト / かんらん岩 / クロミタイト / 太古代 / 変質 / マントル / 地殻 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は苦鉄質岩や超苦鉄質岩などの一般的にはジルコンなどのジルコニウムを主成分にもつ鉱物がほとんど含まれない岩石から希少なジルコンを回収し、ウラン鉛年代や各種同位体比、微量元素組成を分析することで、地球のマントルや地殻の組成進化史を解読することを目指すものであった。一般的には、ジルコンは変成・変質に強く、地質学的時間を経過しても初生的な組成・同位体比を保持できるというメリットから地球史初期の地殻やマントルの情報の解読に活用されている。しかし、本研究で様々な超苦鉄質岩や苦鉄質岩の中の重鉱物を回収、分析する中で、これらの岩石の中では蛇紋岩化反応では強アルカリ性の熱水が生じることから、低温熱水活動であっても通常の熱水活動ではあまり反応しないジルコニウム鉱物が比較的容易に溶解、再沈殿していることが明らかになってきた。当初の目的であった初生的なジルコン組成や同位体比から地球史初期のマントルや地殻の情報を解読することは極めて困難であることがわかったが、その後の太古代中期や後期に苦鉄質岩・超苦鉄質岩体が地殻の中でどのように変成・変質を被ってきたかを解読するために有用な情報を得ることが可能になった。グリーンランド南西部ウジャラグスイットヌナット岩体から採集された超苦鉄質岩に含まれるジルコンの同位体比分析と年代測定の結果をまとめて論文として報告した。ここ1年の間に、超苦鉄質岩に含まれるジルコンの性質についてグリーンランド以外からも多数の報告が上がるようになり、本研究課題と同様の結論に至っており、代表者による研究によって、我が国の研究も世界的な動向にキャッチアップできたと言える。
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