2022 Fiscal Year Research-status Report
シリカ鉱物析出反応速度と地震発生周期の相関性の定量評価
Project/Area Number |
20K14585
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
最首 花恵 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (10738321)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | シリカ鉱物 / 熱水実験 / 析出反応速度 / 地震発生周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
南海トラフやプレート沈み込み帯では,地殻流体が地震発生に重要な役割を果たすと考えられている。地震発生帯には、石英などの鉱物が岩石のき裂を埋めた「鉱物脈」が多数存在することも知られており、地震発生と鉱物脈形成の関係性も示唆されているが、定量的な評価はほとんどなされていない。本研究では、大陸地殻の主要成分であるシリカに着目し、シリカ鉱物が岩石き裂を埋めた「石英脈」の形成と地震発生の関係性を定量評価することを目的としている。本研究代表者等の既存研究(Saishu et al., 2017; Ujiie et al., 2018)では、宮崎県の延岡や槙峰のフィールド調査や試料分析に基づいたパラメーターを用いて、石英が岩石き裂の中で結晶成長して石英脈を形成するモデルを提案している。 今年度は、既存研究と同様のモデルを紀伊と牟岐のフィールド条件に応用し、石英脈形成速度と地震発生周期を各フィールドで比較した成果を、日本地球惑星科学連合2022年大会で口頭発表し、大会参加者との議論を通じて、次の展開に必要なパラメーターなどの情報整理および研究手法の検討を行った。また、よりリアルな石英脈形成時間の算出を目指し、地殻環境を模擬したシリカ鉱物析出反応実験を行うための流通式実験装置を導入し、実験環境の整備とともに、実験条件について情報収集と検討を行った。学術変革領域研究(A) Slow-to-Fast地震学に研究協力者として参加し、国内外の石英脈と地震に関する異分野研究者との情報交換および議論を行い、研究協力の可能性について検討を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
補助事業採択後の異動に伴い、新規所属先における実験・分析環境整備および流通式熱水装置製作の外注が必要となったが、新型コロナ等の社会情勢に伴う外注先での装置用部品調達の遅延と価格高騰により、実験・分析環境整備と実験装置納品に計画より遅れが生じ、装置の仕様にも変更が生じた。装置本体は本年度9月に納品された。
|
Strategy for Future Research Activity |
シリカ鉱物析出実験環境整備、天然の地殻流体を模擬したSi過飽和溶液作成のための溶解試験、石英析出反応速度を導出するための析出実験、析出速度式を用いた石英脈形成時間の計算と地震発生周期との比較検討を行う。Slow-to-Fast地震学など国内外のコミュニティに参加し、石英脈と地震に関する情報収集および各分野の研究者との議論を行う。
|
Causes of Carryover |
予定していた実験装置の整備の遅れ、および装置価格高騰によるメンテナンスや改良の中止、それに伴う分析の消耗品や外注の遅れにより、次年度使用が生じた。今年度に実験を進めることにより、装置メンテナンスと試料分析に使用する計画である。
|