2022 Fiscal Year Annual Research Report
Macromolecular structures of modern and fossil acritarchs: Exploration of chemotaxonomic information
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20K14591
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
安藤 卓人 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (30852165)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクリターク / パリノモルフ / 顕微ATR-FTIR / 顕微ラマン分光法 / ケロジェン / 高分子分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,アクリタークの形成者の所属する分類群や生態的特徴を理解することで,過去二十億年間の(低次)生態系の進化史を鮮明にすることを目的としている。形態的特徴で分けられたグループのうち,特に球状で突起物がないSphaeromorphアクリタークと突起物があるAcanthomorphアクリタークは表層堆積物を含む幅広い地質時代の堆積物・堆積岩から産出されている。研究の結果,現生種Sphaeromorphの多くはセルロース様の多糖,キチン質で構成されており,分解されやすいことが明らかになってきた。 令和4年度は,これまで行なってきた顕微ATR-FTIR分析・顕微ラマン分光分析をルーチン化した。分析を進めた結果,特に極微小なアクリタークは,AOM(アモルファス有機物)と物理的に接着していたり,初期続成過程で複雑に化学反応をしており,既存の分析方法では高分子分析が難しいことが明らかになってきた。そのため,将来的なナノオーダーでの極微小領域での高分子分析を視野にいれ,電子顕微鏡下での観察用に前処理法の開発・検討を主に行なった。また,10月に秋田大学・助教に所属が変更したため,新たに前処理・実験に必要な設備・消耗品を購入した。 研究全体を通して,当初予定していた現生アクリタークのDNA分析は行なえなかったものの,現生種から化石種のアクリタークの鑑定基準を再整理し,顕微ATR-FTIR分析と顕微ラマン分析の手法を改良することで,アクリタークをはじめとしたパリノモルフの高分子分析法を確立できた。また,今後の研究に利用できる真空熱分解実験や無固定かつ形態情報を維持した状態で電子顕微鏡下で観察を行なう手法を検討することができた。これらの成果について,国内外の学会で発表を行なうことができ,論文の執筆を現在進めているところである。
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Research Products
(10 results)